ゼロデイ ZERO DAY
個人的には、かつて「タクシー・ドライバー」で大統領候補を殺害しようとしたトラビスを演じたロバート・デ・ニーロが大統領役(正しくは元大統領)をやるということに衝撃を受ける。彼は常に反体制側だったはずだ。そこにささやかな違和感を感じていたが、最後の最後でこの違和感への回答が示される。
ドラマは「ゼロデイ攻撃」というセキュリティの脆弱性を狙ったハッキング攻撃を受けたアメリカを、元大統領だったジョージ・マレンが対策委員長に任命されて戦うという内容。
見えない敵と戦うメンバーとマレンを任命した黒人の女性大統領ミッチェルと彼女に詰め寄る議長の関係、そしてマレンがずっと悩まされている幻聴などのことが絡まり合い複雑にドラマが進んでゆく。
最も感銘したのは、マレンが不倫した女性が委員会のリーダーに任命されながら、妻のシーラが議会証言をするシーン。元ファーストレディの彼女が個人的な感情を脱ぎ捨てて、夫をかばうだけでなく、尋問する議長に対して一歩も譲らない証言をするシーンは胸を打つ。このシーンはドラマの進行を大きく揺さぶるシーンだ。
サイバー攻撃に対する国家の対応を映すドラマでありながら、実は家族の物語だったりするうえ、「正義とはなにか?」をラストシーンで問いかけて終えている。このラストはすごい。
ドナルド・トランプが大統領に再選され、民主主義が脅かされる中、われわれはこのドラマを単なるサスペンスとして受け入れるだけでいいのか?と問われているようにも思える。
ZERO DAY | Official Trailer | Netflix
66.5kg "Any type of war"(いなかる種類の戦争) -
◆ゼロデイは政治的立場や論点のない政治スリラーである
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