作家・山崎豊子③「大阪商人を掘り下げる」

- 作家・山崎豊子
文藝春秋
本
中国と沖縄の問題を取り上げたあと、山崎豊子さんが子どもの頃に書いた作文なども紹介されます。「淡路島」を描いた一文などに、才能の片鱗を見ることができます。
そして最後、第三部は「大阪と小説」というタイトルで、処女作「暖簾」を中心に大阪商人について語ります。
デビュー作を澁澤敬三氏が高く評価し、あまり売れ行きがよくなかった東京の財界人に100冊配り、東大経済学部にも贈ったというエピソードには驚きます。作家デビューした頃から、山崎豊子さんが注目されていたことを知ることができます。
大阪商人の話の前に、「大阪おんな系図」で、当時の大阪おんなを語ります。
好きな男をぶらぶら遊ばせて、女が寝ずに働いて食べさせることを「たて養い」というのだそうです。船場あたりの商売では、女が商いに口出しするなという厳しい規律があったとか。
一方で、女が三人集まると商いになるとかで、行動的な大阪娘のたとえとして「梅田トイレット」が紹介されていました。
「商人の命」では、のれんを守る大阪人の商法と商道について、独自の哲学が語られます。
金と数字の力だけで決める昨今の企業姿勢は、不正な癒着や金融不祥事を招き、企業倒産に向かうモラルハザードの中で、「大阪商人には道がある」と幼い頃から聞かされて育った山崎豊子さんの言葉は重たいですね。
「お上に頼らず 蔵に百両あっても 身の程の半分の生活をして 大事に備える」
「吝嗇(りんしょく=死に金)と倹約(=生きた金)を誤ることなかれ」
という言葉は、時代が変わっても貴重なお話です。特に昨今の大阪の政治・経済は、あまりにも杜撰で目に余るものと言わざるを得ません。
経済も文化も、日本の先端を走ってきた大阪が、どんどん悪しき方向に向かうことを懸念しつつ、山崎豊子さんの作品や、残したメッセージを咀嚼していきたいものです。
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