シネイド・オコナー: 恐れ知らず
アマプラで「シネイド・オコナー:恐れを知らず(Fearless)」を見た。とても鬱屈したドラマで、彼女のインタビューだけで構成される内容は思い。低い声を早口でまくしたてる彼女は極めて冷静で知性的だ。彼女の聡明で透きとおるような楽曲とイメージはずいぶん異なる。
ロッキンオンのこの記事によれば、ビリー・コーガンが彼女のことを「恐れを知らない」と言わせていて、ローマ法王の写真をズタズタに破って批判を受けながら、ブーイングの前でボブ・マーリーの「War」を歌う彼女を象徴している。
カトリックで生まれ、お腹に赤ん坊がいる中レコーディングされたデビュー・アルバム「The Lion and the Cobra」で絶賛され、プリンスのカバーした代表作を含めたセカンド・アルバム「I Do Not Want What I Haven't Got」など、いま聞いてもその美しさは変わらない。
敬虔なカトリックに生まれた彼女にとって、ローマ法王の行為(児童虐待)がどれだけ傷つけたことか。幼い頃から母親に虐待され、辛い少女時代を過ごした彼女の人生を思うと、イスラム教に改宗したことの意味を深く理解できる。彼女は「Nothing Compares 2」で母親を許そうと思ったに違いない。しかし、そんな思いのカトリックが幾度となく繰り返してきた自壊によって彼女を傷つけた。
傷つけられた彼女は、その傷を隠しながら「恐れを忘れた」かのように戦い続ける。
「恐れを知らない」彼女の行為は大勢の人々、特に女性に勇気を与えたことだろう。
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