忖度しない若者たちの物語—『#KNEECAP/ニーキャップ』に震える
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「KNEECAP/ニーキャップ」(リッチ・ペピアット監督)は今年のマイベスト!笑って、驚いて、胸を打たれる——。こんな映画、もっと多くの人に届いてほしい。
ニーキャップ(KINENOTE)
いや〜、なんと申しますか…今年のマイベストです!(今のところ)ダントツのベスト。最高でした。
ストーリーの細かい説明はあえてしません。ただ一つ言えるのは、この映画はムーブメントになって、もっともっと広まってほしいということ。素晴らしいのに、その素晴らしさをここで説明しきれない——それが逆にポイントです。この記事がアップされる頃には劇場公開が終わっているかもしれませんが、もしまだ間に合うなら、ぜひ劇場で鑑賞してください。(また同じことを言ってますね、すみません…)
この日のヒューマントラストシネマ渋谷・朝の回は、観客は半分ほど。しかし上映が始まると場内は爆笑の渦。そして次々に繰り出される想像を超える展開に、ただただ唖然。しかも、あとで知って驚いたのですが——なんと実話です。
Fワードの連発、ドラッグ、セックス、暴力…そんな現実を、なぜか楽しく魅せてくれる。映画の世界に没入する感覚。でも単なるハチャメチャではなく、プロットはしっかり。権力と、それに抗う若者たち。そしてその間で揺れる教師兼通訳。しかも、彼らは“自分自身”を演じています。これにはびっくり。
物語の舞台は北アイルランド。アイルランド現代史を少し知っていると背景がより深く理解できますが、そうした知識を抜きにしても、若者たちの突拍子もない行動が人々の心を打つ瞬間は美しい。
ただ、この映画が描く“群衆の熱狂”には別の怖さもあります。理不尽への怒りや自由への渇望は、時に多くの若者をトランス状態にし、正義と暴走の境界線をあいまいにする。そのエネルギーは魅力的である一方、危うさもはらんでいます。
できれば劇場の爆音で、このエネルギーを全身で浴びてほしい——そんな作品です。
そして、この映画が描く「声を上げる力」は、沈黙を常態化させたこの国の未来を問い直す一撃でもあります。
導入部! 【月刊丸屋町山 シーズン2_18】激動のアイルランド史スペシャル! ヘンリー8世とシン・リジィと『ニーキャップ』の数百年 feat. 町山智浩のダブリン抑留日記
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