線のしぐさ 無=価値☆

ダン・ミラーの作品は会話させる作品。そこに描かれる線の数々は言葉を感じさせる。作品と対峙することで、そこから放たれる言葉を感じ、それを聞き取るような作品だ。

驚くのはジュディス・スコット。ある意味でこの展示の中心であり、彼女の存在はがこれらの作品を総なめするような相対性と集大成としての作品ではなかろうか。すごい。


映像を流すエリアで、彼女の製作シーンが描かれ、その魅力に迫る。

さらに、アート・ブリュットを生み出す施設に、多くの作者たちが集まる施設なども紹介されていて興味深い。彼らの中にはダウン症と思しき方もいて、病などを抱えながら作品製作に集中する姿は神々しい。そして彼らもまたその施設の存在に感謝する日々。

芸術とは何か?と問われれば、それは「無」だと思える。この展示をみてそう確信する。全ては「無」なのだ。しかし、何もない世界に1本の線を引き、その線つ積み重ねてひとつの形にするある種の錯覚。しかしそれ自体にも価値はなく「無」である。その「無」に価値を見出すのは第三者だ。情報も映像も絵画も、絵画を生み出す線ですら価値はない。価値は客観性によって増殖する。
彼らのパフォーマンスのひとつひとつを見れば見るほど、彼らの内面性、彼がが社会でどのように見られているかという内面性と彼らが客観性の中で「価値」など気にもせずに描こうとする世界に1本の「線」が貢献していることを知る。
学びの多い展示である。心から感動した。涙が出てきた。
(=^・^=)







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