セールス・ガールの考現学 ジャンチブドルジ・センゲドルジ監督
キネノートのレビューはこちらから。→「セールスガール考現学」
OAFF2022『セールス・ガール』The Sales Girl [Khudaldagch ohin] 予告編 Trailer
なんという愛らしい映画だろうか。バナナの皮で足を滑らせてころんだ親しくもない同級生の代わりにアダルトショップでバイトする女の子サロール。モンゴル映画を過去に見たことがない。しかしこれは国境を越えた普遍的なドラマである。
バイトを任されたサロールと、店のオーナーであるカティア。この可愛らしい少女としたたかで憎々しげなおばさんという両極端のふたりは、実は同一人物だ。この映画のテロップを見て気づいたことだが、モンゴルはロシアが共産圏だった頃から今に至るまで親密な関係にある。共産主義だったモンゴルで青春を過ごしたカティアと、自由主義経済に以降してから、今を生きるサロールでは価値観が大きく違う。使う者と使われる者。資本と労働というテーマを境に、このおふたりは大きく違う時代を生きている。
ピンク・フロイドの「狂気」がうまく使われている。あのアルバムにある「マネー」といいう楽曲こそ、この腐った資本主義を描いた曲だ。共産主義国家だった時代にカティアはこの曲を聞いている。そしてカティアはこのアルバムの臭い、70年代の臭いをサロールに感じてほしいと期待する。しかしこのふたりは同一人物であるがゆえの時代の隔たりを超えることができない。
なんということだろう。モンゴルを通じて、かつて共産圏と言われた東側の社会を垣間見ることができる。しかも全く堅苦しさを感じさせないまろやかな語り口。映像のセンスも素晴らしく、音楽の交え方も見事だ。
劇場は熱心な映画ファンで賑わっていた。この愛らしい映画をみて誰もが満足されたことだろう。素晴らしかった。Dont miss it!
モンゴル映画『セールス・ガールの考現学』。バージンのヒロインはセックスショップで働くはめになる。店のオーナーは70年代に青春をすごした女性で、セックスこそが人を解放すると説き、ヒロインもそれを試すのだが……。ヒロインを本当に自分自身にしたのはセックスではなかった。 pic.twitter.com/9saAfbzRo7
— 町山智浩 (@TomoMachi)
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