音楽は時代を映さない
音楽家の高野寛さんが、NHKラジオで昨今の音楽事情について解説されいた。
おもわずうなってしまった。さすが高野寛さんだ。高野さんが学生を教えていることで気づいた最近の音楽傾向をまとめている。ざっくり言うとこういうことだ。
・若い方(Z世代)はCDを触ったことも、スピーカーで音楽を聞くこともない。
・サブスクが主流となり、音楽のセールスがフォロワーの数を目安にするようになった。
・純粋な音楽は動画がないと売れない時代となった。
・レコーディングもスタジオではなく自宅録音(宅録)が主流となる。
・プレイリストを聞く人が増え、昔の楽曲を若い方が詳しく知っている場合が増えた。
あまり積極的に音楽を聴く機会はなくなったものの、昔から追いかけているアーチストのライブには定期的に出向いている今の自分にとって、これは極めて整然としたお話に聞こえた。
このコーナーのあとアナウンサーがリスナーの声(これも昔はハガキだったりFAXだったりしたものだが・・・)を読み上げると、小泉今日子さんの「あなたに会えてよかった」を、中学生の子供さんが歌詞やメロディや詳しい背景まで知っていて親御さんが驚いた、というエピソードを紹介していた。
小泉今日子 - あなたに会えてよかった (Official Video)
だいぶ古いが・・・
歌は世に連れ
世は歌につれ
と言われた時代はとっくに終わってしまったということだ。小遣いをためてレコードを買ったり、アルバムを買ったときはそのジャケットや中にある歌詞などを読んだりしてじっくり味わった。そしてそれらの楽曲、新曲は常にその時代を映し出していたものだ。ところがサブスクとプレイリストのおかげで音楽は全く時代性を失い、どの時代の音楽でも楽しむことができるようになったのである。
これはいいことなのかもしれない。というかネットの普及は音楽業界の構造を変えて、いいもわるいもこういう変化の中に全てが巻き込まれてしまったということなのだろうと思う。昔のようにレコードが爆発的に売れる、という現象はもうないのだ。
昨年末、数年ぶりにNHKの紅白歌合戦をまじまじと鑑賞したものだが、あの番組の構成はまさに時代を投影していると言えるかもしれない。ステージに歌手が上がって歌う、というケースに限定されず、あらかじめ番組のために撮られた映像で盛り上げるという構成もまた現実なのだ。
すごい時代になったものだ。
最後に榎本幹郎さんの記事を紹介して終わる。もうこのレベルになると自分では追いつけないし、追いかける気力もない。
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