ペルソナ ② 読み手の物語
- ペルソナ 脳に潜む闇 (講談社現代新書)
- 講談社
- Digital Ebook Purchas
3章 さなぎの日々 2000〜2009年(25歳〜34歳)
この章で著者は経済について言及する。新自由主義社会を「自業自得」とし、神経経済学でいう”非合理”が市場を動かすという。これはダン・アリエリーの本で学んだ。アリエリーは行動経済学。
- 予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
- 早川書房
- Digital Ebook Purchas
自由主義的な弱肉強食が蔓延すると、弱者はときに強者に心酔するものだが、強者に心酔しても強者になることはなく、搾取されるだけだという。これは歴史を見ても明らかだ。個人的には資本主義(あるいは資本主義的社会)は、最も退化した”無気力”社会だと思う。新自由主義は根性論と相性がいいというが、まさに自分もそうした時代を流れてきた自覚がある。
4章 終末思想の誘惑 1990〜1999年(15歳〜24歳)
著者は学生の頃、仲良くしていた先輩が自殺するという経験をしている。ポジティブな方だったようだ。これは「インサイド・ヘッド」という映画にも遡及する。悲しみを抑圧すると破滅する。
逆に、ネガティブ思想は中毒性があるとも書いている。
5章 砂時計 1975〜1989年(0歳〜19歳)
著者は現代から遡って自分を振り返り、自分という人間を限りなく暴露してゆく。子どもの頃から「利己的」と通知表に書かれ、親元から祖母の家で過ごした青春時代のことが描かれる。
自分をモザイクな多面体と称し、他者のイメージ(ルッキズムなど)で自分が固定されてしまうことを懸念する。そして自分の闇を見つめることを、認知と心のワクチンだとして締めくくる。
そして最後のページにこのような空白を示して驚かせる。
これは自分(著者)が反射する読み手の物語だとして終わるのだ。
★
★