「映画の記憶を訪ねて:国立映画アーカイブで感じた時代の流れ」
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久しぶりに国立映画アーカイブを訪れたのは、森田芳光監督の特集があると聞いたからです。一昨年、大島渚監督の展示以来でしょうか。
常設展では、五社協定の映画会社の歴史が年表で紹介されています。現在、収益トップは東宝、続いて松竹、東映。映画館チェーンも抱え、映画興行の中心を担っています。ちなみに映画館数だけならイオンシネマが最多です。
古いカメラの向こうにチラリと見えるのは「雪之丞変化」。松竹が1935年、衣笠貞之助監督で映画化した作品です。”変化”と聞くと、さまざまなドラマが思い浮かび、ワクワクします。
こちらは映写機です。現代のプロジェクターよりも大きく、画面は小さい印象ですが、この映写機で上映された大きな画面に多くの観客が熱狂したことを想像すると、胸が高鳴ります。ちなみに日本で最初の商業映画館は浅草六区の浅草電気館で、ホッピー通りの近くにありました。今は浅草に映画館はありません。
「人生のお荷物」という作品も印象的です。五所平之助監督の松竹ホームドラマで、小津安二郎監督や山田洋次監督に通じる原点を見ることができます。時代劇から現代劇に中心が移る様子も、映画史の変遷として興味深いです。
松竹映画が映画史に残した痕跡は極めて大きく、その集大成は小津作品にあると言えるでしょう。さらに踏み込んだ映画史を知るには、鎌倉の「川喜多記念館」を訪れるのもおすすめです。午前十時の映画祭で知られる武田和さんが代表理事を務めています。
黒澤明監督の「生きものの記録」に関する展示もありました。この作品はタイトルがぎりぎりまで決まらず、台本の表紙も空白です。当時、黒澤監督は音楽監督の早坂文雄さんを亡くされ、気持ちが落ち込んでいたそうです。原爆を間接的に描いた問題作としても知られています。
また、「羅生門」が獲得したベネチア国際映画祭の金獅子賞も展示されており、本物の栄光を間近に感じられます。
こうして見ると華やかに思える映画の歴史も、現在は衰退の一途をたどっています。映画は古い、退屈なコンテンツだと感じられ、TVアニメやゲーム、動画配信、SNSなどに押されているのが現状です。
映画産業は、エジソンが発明し、フランスのリュミエール兄弟が始めた技術から、ハリウッドを中心に世界に広がりました。松竹など日本の映画会社も、産業を大きく育てた功績があります。しかし今や大手映画会社は映画を作らず、スポンサーから出資金を集め、上映で回収するだけのビジネスになりつつあります。大手映画会社の収益の4割は、映画興業以外(不動産業など)で上げています。映画スタッフの育成も外注化され、才能ある映画人が作品を作れない現実があります。
その意味で、国立映画アーカイブは貴重な国家的財産です。昔の名作を何度も繰り返し鑑賞できる映画館が、もっと増えてほしいと思います。
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