名探偵ポワロ 「エリン・ゴー・ブラーの衝撃」
冒頭、本題には似つかわしくない話題ですが、ロシアがウクライナの首都キーウに総攻撃を仕掛けているというニュースが飛び込んできました。
国防省はウクライナへの新たな攻撃を発表した。
・ロシアがウクライナに対し大規模なミサイル攻撃を実施、防空網の脆弱性を露呈(Independent)
国防相が解任されるなど、内政が不安定なウクライナにつけ込んでロシアが攻撃を仕掛けたということでしょうか。ますます泥仕合の様相です。
さて、本題です。
「名探偵ポワロ」の第2シリーズ、全9作品を見終わりました。1990年に放映され、日本でも翌年1991年にかけて放映されたのだそうです。「ミス・マープル」のシリーズは1話2時間の大作が続きましたが、ポワロはだいたい1時間程度で鑑賞できます。ポワロのキャラクターがユニークで明るいので、見ていて苦痛がありません。殺人などの犯罪を扱いながら、長く続いたのはこうしたコンパクトさも理由でしょう。
第1シリーズの好評を受けてさらにスケールアップした「名探偵ポワロ」は、第2シリーズ冒頭からリゾート地の豪華な風景を映し出します。「エンドハウスの怪事件」はミス・レモンを巻き込んで霊を呼び起こす演出をします。
依頼者が疑わしいという「ベールをかけた女」や「ダベンハイム失踪事件」、そしてドラマの前提でマジックショーを見たり映画を見たり、「モノポリー」をやってみたり、とてもユニークな演出も印象に残ります。
カメラワークも見事。「安いマンションの事件」で、ナイトクラブにポワロたちが立ち入るシーンは、カメラがどんどん高い位置に移動して、俯瞰で全体をとらえるショット。これはテレビドラマという枠を超えて、映像芸術の高いレベルにあることを示します。
このシリーズで強烈な印象を残した作品のひとつが「誘拐された首相」。ネタバレになりますが、このドラマに出てくる「エリン・ゴー・ブラー(Erin go Bragh)」というキーワードは、なんとアイルランドについての物語だったのです。首相誘拐の解決に極秘で捜査にあたるポワロは、首相と行動を共にして襲撃された中佐に注目します。中佐の書斎で「電話を借ります」といってデスクで電話をかける数秒のシーンが意味を持ちます。そして最後、ナチス・ドイツの脅威がヨーロッパを覆いつつあった時代のイギリスで、アイルランドもまた独立を求めて革命を起こそうとしていた歴史がここに示されます。クリスティの語り口も、ドラマの構成も、映像も、全てが見事でした。感動しました。
名探偵ポワロ 「上流階級の悲劇」 - 第1シリーズ
名探偵ポワロ 第2シリーズ
「ベールをかけた女」
「消えた廃坑」
「二重の罪」
「誘拐された首相」
★
★

