「マエストロ」

Maestro | Official Trailer | Netflix

誰もが思うことかもしれないが「TAR／ター」がリスペクトしていたバーンスタインのある側面は、日本の芸能事務所が長年隠してきた抑圧を示すものではないか。

この映画「マエストロ」の素晴らしさ美しさ迫力などを全て受け入れたうえで、冷静に考えると、人の内面に存在する実存主義的な世界、つまり個人の内面にある感情を誰も抑えられないという現実をこの映画はかなり露骨に示していると思った。

しかしいずれにせよ、これは映画館で鑑賞すべき映画。映画館の大画面と大音響がきっと見るものを別次元の世界にいざなうことだろう。特に、クライマックスシーンともいえる「交響曲第２番（復活）」はこの数分のシーンだけでこの映画を見る価値があり、映画全体がこのシーンに向かって進むことを理解できる。

これはバーンスタインにフォーカスしながら、実は妻フェリシアの映画だ。彼女が人生をかけてバーンスタインと向き合い、愛し、衝突し、その別れにいたるまで、フェリシアの気持ちに寄り添うと胸が熱くなる。彼女が生涯を伴にした偉大なバーンスタインは、彼女にとって何者だったのか？という問いの答えがジワリと見えてくる。

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