DTOPIA 安堂ホセ著 芥川賞、"JFK”
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著者の安堂ホセさんは30歳。3度めのノミネートで受賞となったという。かなりの映画好きらしい。著書の中で「バービー」や」「オッペンハイマー」「哀れなる者たち」などの傑作が紹介される。「関心領域」を示して”今パレスチナで進行中の虐殺に対する我々の無関心さを表現している”とする。
物語はかなり刺激的で、冒頭はある南の島の恋愛ゲームイベントから始まる。ミス・ユニバースをめぐる世界から集まった男たちの競争。しかしミス・ユニバースはなんとホテルの使用人マルセルと肉体関係を結んでしまう。ポリネシアの核実験をたとえにして、”この無関心さが彼女をマルセルに向かわせた”と言わせる。
主人公は友人だったモモの睾丸を片方摘出したことが事件となり、「睾丸を摘出した少年」として有名となる。そしてこの島に大勢のギャルが押し寄せる。その中になんと幼馴染のモモがいた、という展開から複雑になってゆく。
「暴力から暴がとれないか」
という問いかけが続き、最後にこの島で核実験場に押し寄せた「デート兵」が多くの地元女性を妊娠させたという事実が紹介される。
加害者と被害者を強制的に引き分けにするために仕組まれた子どもたち。血の中の憎しみに愛情を混ぜられてしまった子どもたち。
ホワイト・ウォッシングを想像させるこれらの文脈に、男女とか格差とか人種とかいう隔たりへの問題提起が垣間見える。
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トランプ政権が1963年のJFK暗殺について新たな記録を公開したことについて、BBCなどが情報を整理している。パパブッシュがケネディを暗殺したという陰謀説やCIAの関与などについて諸説ある中、当時ソ連がケネディ暗殺を警告していたという説もある。いまもまだ藪の中だ。
◆トランプ政権、JFK暗殺事件の新たな記録を公開
