『アイム・スティル・ヒア』が描く抑圧と希望

dalichoko(ダリチョコ)


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1960〜70年代のブラジルは、軍事政権の圧政のもとで言論も音楽も検閲され、反体制の歌は「国家への脅威」とみなされました。トロピカリズモの旗手・カイターノ・ヴェローゾが追放され、若者たちは地下に潜って武装闘争に走る。映画『アイム・スティル・ヒア』は、音楽と抵抗が交差するこの激動の時代を、当時の楽曲と人々の記憶を通して鮮やかに蘇らせます。


アイム・スティル・ヒア(KINENOTE)


「トランプ発言の裏にメラニア夫人?意外なリスクと歴史の重み」 


ブラジルの物語です。とても重たい話なのに、映像の美しさに包まれて「これは昔の遠い国の話かな?」と錯覚してしまう――そんな映画です。

今年のアカデミー国際長編映画賞を受賞した作品で、「エミリア・ペレス」「FLOW」「聖なるイチジクの種」といった傑作を抑えての栄冠です。


物語は、幸せそのもののような裕福な家庭から始まります。美しい妻、優しい夫、6人のかわいい子どもたち、そして長年仕えるお手伝いさん。娘のひとりはロンドンに留学し、家族は海辺で休日を楽しむ。ある日、子どもが犬を拾ってきて、母は反対するも、父の許可で飼うことに――この犬は後に忘れられない存在になります。


このあまりに幸福な時間が、後半に訪れる悲劇をいっそう際立たせます。実話です。

軍事政権下のブラジルで、何の罪もない一家が「スパイではないか」と疑われ、夫は突然拘束されます。


…さて、今の日本でも「スパイ防止法」が検討されていますね。歴史を振り返れば、こうした法律は権力者に都合よく使われ、国民の誰もが“容疑者”にされる危険があります。この映画を観れば、その危うさが肌でわかるはずです。法案を押し進める政党を支持する方にこそ、ぜひ観てほしいと思います。


スパイ防止法、参政党躍進で再燃 40年前は廃案、再び国会の焦点に 【政界Web】:時事ドットコム


夫を失った家庭は収入を絶たれ、お手伝いさんを解雇し、屋敷を手放して引っ越します。それでも妻は、子どもたちを守るために気丈に振る舞う。主演フェルナンダ・トーレスの演技は圧巻で、冷静さと情熱を併せ持った生き方を見事に体現します。かつて夫を支えた人々が手のひらを返して去っていく中、彼女は決して子どもたちに不安を見せません。


当時のブラジルで広がった排外主義や軍事化の空気は、今の日本の一部にも似ています。「核武装が安上がりだ」「外国人は危ない」といった偏見を当然のように口にする空気は、時代も国も超えて同じ危うさを孕んでいます。


この映画を観終えたとき、きっとこう思うはずです――

これは昔の遠い国の話じゃない。今、私たちの国にも起こりうることだ」と。


必見です。本当に、必見です。





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