ロボット・ドリームズ パブロ・ベルヘル監督
セリフはない。日本のアニメやピクサーのアニメからするとちょっと拍子抜けするような印象だがとんでもない。目線の動きやニューヨークの当時の風景などが極めてクリアに描かれている。町山智浩さんは「パスト・ライブス/再会」に似ていると言っていて、ああなるほどと思った。
とても切ない映画。
映画で性別は明らかにされないが、犬とロボットの関係を恋愛関係に置き換えると、さらに切なさが増幅する。きっと誰もが誰かと出会い、そして別れてきた経験があるはずだ。そんな思い出に浸るには、あまりにも残酷な映画でもある。少なくとも子供向けの映画とはいえない。チャップリンの「街の灯」が例えとしてはもっとも近いのかもしれない。
買ったロボットとの思い出に浸る。
最後に印象的な貿易センタービルが画面によぎる。そして「セプテンバー」がここにかかる。貿易センタービルを物欲の象徴と例えると、われわれはこの映画の犬とロボットの関係を他人事とは思えなくなる。昨今「モノからコト」へというキーワードも流れてくるが、「コト消費」を喚起させるような印象もある。
とにかく、リアルな映像とラスト数分のシーンに涙すること間違いない。自分の心の奥深くに封じ込めた潜在意識をわしづかみにされるようなラスト。
11月8日日本公開のスペイン製アニメ映画『ロボット・ドリームズ』は誰でも号泣の大傑作。監督のパブロ・ベルヘルが1980年代にニューヨークで暮らした体験を基にしており、彼はスカム映画カルチャーの震源地であるキムズ・ビデオの店員だった! pic.twitter.com/u2XodR5sfa
— 町山智浩 (@TomoMachi)
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