「フランケンシュタインと父の影」
フランケンシュタイン KINENOTE
Frankenstein | Guillermo del Toro | Official Teaser | Netflix
1、アナキズムと『フランケンシュタイン』
「フランケンシュタイン」の原作者メアリー・シェリーについては、エル・ファニング主演の映画『メアリーの総て』で詳しく描かれています。女性活動家だったメアリーの母親の影響を受けた父、ウィリアム・ゴドウィンが理論的支柱を組み立てたとされるアナキズムは、この作品を理解するうえで重要です。
資本主義も社会主義(あるいは共産主義)も、中央集権的な政府を必要とする点で変わらない、という考え方があります。メアリーは当時、夫の名前で小説を書いていましたが、その矛盾や夫との確執の過程で『フランケンシュタイン』は生まれたと言われます。いまから200年以上も前の話です。
個人的には、「無政府主義」と誤解されがちなアナキズムが、実は「秩序」であるというプルードンの「アナキズムは秩序であり、政府は内乱」言葉に、ハッとさせられました。政府の方に問題がある、という視点は今の社会にも響きます。
2、デル・トロ監督と父親の確執
デル・トロ監督の父親は非常に厳格で、その影響は彼の作品にも色濃く表れています。監督自身、この『フランケンシュタイン』も「自分のために作った」と公言しています。
父親は過去に誘拐されるという恐ろしい経験があり、デル・トロ監督も長く触れずにいました。しかし父親の死の直前の会話で、赦しの重要性を学びます。「恨みは二人を囚人にする。赦すことが二人を解放する」という言葉で、この父子関係を振り返っています。
3、『フランケンシュタイン』の映画的魅力
映画はデル・トロ監督らしい、暗く美しい映像で原作に忠実に描かれています。怪物は次第に知識を得ますが、その恐ろしい姿のため市民から憎まれ、虐げられます。
しかし彼を理解するのは、博士ではなく森で出会う盲目の老人や、博士の弟の妻(ミア・ゴス)です。彼らは哀れみではなく、純粋な心で怪物を慕い、愛します。この点に、私は強く心を動かされました。やはり、理解し合うことの価値は不変ですね。
4、AI社会と現代への示唆
山田洋次監督は最新作『東京タクシー』のインタビューで、「映画は機械にまたがった芸術」と語り、昨今のAIは核開発のように支配の道具として使われる危険性があると指摘しています。メディアはこれを「便利なもの」と報道しますが、実際には人間を不幸にする可能性がある、とも述べています。便利な技術の裏に潜むリスクに、私は少し背筋が寒くなりました。
◆スマホ脳① 「スマホはドラッグ」 アンディシュ・ハンセン著
デル・トロ監督が父親との軋轢を率直に描くこの映画と、AIがもたらす不幸な未来。両者を見つめることは、現代を生きる私たちにとって非常に重要です。聖書の「放蕩息子の帰還」は、果たして現実の世界で実現できるのでしょうか。
導入部!【月刊丸屋町山 シーズン2_21】ギレルモが愛した怪物、フランケンシュタインについて
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