#ダリチョコ の映画とグルメ

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#モロッコ流謫 ① 四方田犬彦著

モロッコ流謫
モロッコ流謫
新潮社


四方田犬彦先生とは、足立正生監督の「Revolution+1」の上映イベントでお話を聞いた。その後どこかで、ベルドルッチの「シェルタリング・スカイ」の舞台となったモロッコについて四方田先生が本を書かれていると聞いて必死にネットで探したがなかなか手に入らず、ダーリンさんのコネクション経由でなんとか手に入れた。2000年に刊行された名著。



といってもベルドルッチ作品への言及ではなく、この本は四方田先生が世界各地へ赴かれた経験の中の一部で、その有り余る知性がこの本にも呼び起こされている。


プロローグでモロッコ人のハディージャと翻訳をめぐって話し合うシーンがいい。「2匹の子犬のように言葉を通じてじゃれあった。」


第一章 蜃気楼の港 タンジェ(タンジール)



遠い異国の地を文字だけで想像するのは難しいが、冒頭で「2つの海が混ざり合い、5つの言葉が交わされる」とする。四方田犬彦先生らしく、過去の名作「モロッコ」「知りすぎていた男」「カサブランカ」などを並べて紹介する。旅の目的はポール・ボウルズとの面会。



言わずと知れた「シェルタリング・スカイ」の原作者だが、恥ずかしながらこの本を読ませていただくまでボウルズのことはまるで知らなかった。四方田先生がボウルズのいくつかの作品(「蜘蛛の家」など)を翻訳されていることすらも・・・


ベルドルッチがこの血を訪れたとき、パスポートと財布を盗まれたそうだ。自分もホーチミンで同じ経験をしているが途方に暮れる。それを聞いたボウルズが「凝りてもう来ないなら話は終わり。もう一度来れば、映画が実現するかもしれない。」と言ったとか。


第二章 蜘蛛の迷路 フェズ



四方田先生が翻訳された「蜘蛛の家」を中心に、フェズという町を紹介する。アメリカ人作家とモロッコの少年アマールの物語。


ポール・ボウルズ作品集 4
ポール・ボウルズ作品集 4
白水社


アマールのセリフに「僕らはフランス人からなにかを教わろうと思って招いたのに、何も教えてくれず、僕らを召使いにした泥棒さ。」これは植民地政策の裏返しで、イギリスも日本も同じ。モロッコという国の複雑性をひとことで表現するだけでなく、近現代史を抽象化している。


第三章 砂と書物 アトラス越え



たまたまこの本を読んでいる頃、テレビシリーズの「VIVANT」という面白くもないドラマをやっていたが、あのドラマに出てくる砂漠(ゴビ砂漠か?)とこの本に出てくるサハラ砂漠の印象が重なって想像を豊かにしてくれる。


三島由紀夫の弟、平岡千之との出会いや、アナーキストの石川三四郎(流謫者)が語られて刺激的だ。砂漠という一見無機質とも思える風景の中に、様々な記憶が刻まれていることを示す。



つづく・・・


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