ミックス・テープ ヴァレリー・ワイス監督、「文化大戦争」
Mixtape | Official Trailer | Netflix
Netflixで配信されている「ミックス・テープ」という映画にたまたまハマって驚いた。「エイス・グレード」や「トール・ガール」あるいは「ハーフ・オブ・イット」「See You Yesterday」など、思春期の少女が主人公の映画がよぎる。監督はヴァレリー・ワイスというハーバード出の女性。脚本は「ハーフ・オブ・イット」のアリス・ウー。
日本版予告編ではTHE BLUE HEARTSの「リンダ・リンダ」に主人公の少女ベバが魅了されるシーンに惹きつけられる。日本語がわからない彼女は、家の反対側に住むアジア系少女に声をかけて歌詞の意味を聞き出そうとするが台湾人だった。物心つくまえに両親を亡くしたベバは、まだ若い祖母と暮らしている。決して生活は楽じゃない。祖母はエバの母親について語ろうとしないが、たまたま屋根裏で見つけたミックステープに、当時の母の思いを見つけ出そうとする。しかしテープを壊してしまって、ケースにあるリストの曲を探し出そうとする。そしてレコード店のアンチに掛け合って小出しに曲を提供してもらう。
時は1999年。インターネットも今ほど普及していない時代で、Spotifyもない。映画の中で2000年問題のニュースが何度も流れる。いまから四半世紀前、レコードやカセットテープが主流で、ソニーのウォークマンがバカ売れした時代。学校では選挙運動が行われ、びくびくしながら過ごす少女にミックステープの曲が元気を与える。
子どもの頃の思いや大人になると見えないドラマがそこにはある。母親のいない少女にとって、学校と家で忙しく働く祖母とふたりの小さな関係は世界を狭める。祖母も祖母で、未成年でエバを生んで交通事故で失った娘のことを思うと、孫娘にその事実を語れない。レコード店のアンチ(本名はエドワード)などとの出会いで、喪失して消し去ろうとする現実を取り戻そうとするテーマは奥が深い。
2000年問題を置き換えると、閉鎖的になる現代社会をそのまま置き換えることもできる。主人公の屈託のない少女を演じたジェマ・ブルック・アレンの魅力も満載。愛しい映画。
◆Director Valerie Weiss on her Netflix movie 'Mixtape' | Moviefone
実は2021年にもこの映画を鑑賞していた。比べると面白い。自分の心理の変化を感じる。
★
★
ゼレンスキーとの会談に出しゃばって存在感を示したヴァンス副大統領だが、彼の言動を踏まえ「トランプは4年だが、ヴァンスを野放しにするとさらに8年間こういう世界が続く」という声も聞こえてくる。東洋経済の3月1日付け記事はこれらの空気を文字にしているものだ。
American democracy can survive 10 years of Greta Thunberg’s scolding, you guys can survive a few months of Elon Musk. 「アメリカの民主主義はグレタ・トゥーンベリの説教に10年も耐えてきたのだから、欧州の皆さんもイーロン・マスクのもとで数カ月は生き残ることができるだろう」
同じく2月の東洋経済の記事も慎重に読むべき記事なのではないか。
◆バブルは崩壊し資本主義が終わりこの世が終わる 世界を破綻させるマグマが急激にたまっている | 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場 | 東洋経済オンライン
