チャップリンとアヴァンギャルド ② 「空を飛ぶ夢」
- チャップリンとアヴァンギャルド
- 青土社
- 本
「独裁者」のエピソードで、著者の大野裕之さんが本を書かれていることにも触れている。重要な点は「当時ヒトラーが不況を克服した英雄だった。」ということだろう。この国にもそれらしきことを”なんとかミクス”とウソぶいて、貧困国へとリードした方がいた。
- チャップリンとヒトラー メディアとイメージの世界大戦
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第6章 チャップリンとヌーヴェルヴァーグ
トリフォーが「ニューヨークの王様」をして、新約聖書のキリストとヘロデ王を重ねたことに端を発し、ゴダールがチャップリンを崇拝していたことが説明される。「キッド」を「アワーミュージック」という作品に反映させているようだ。
第7章 チャップリンと歌舞伎
チャップリンが来日したとき相撲や歌舞伎を楽しんだことは知られているが、それよりずっと前、「街の灯」が公開される頃、歌舞伎でこの映画を「蝙蝠の安さん」というタイトルで上演されたことが記録されている。
これを松本幸四郎で再現し、それをチャップリンの四男ユージーン・チャップリンが鑑賞するため来日したそうだ。
第8章 チャップリンとSF
最終章では、チャップリン幻の遺作について詳細の説明がある。「フリーク」というこの作品は具体的に撮影する準備が整っていたが実現できなかったのだそうだ。
この作品には、チャップリンの人生そのものが凝縮され、チャップリンが夢見た”空を飛ぶ”ことを実現しようとしたらしい。あらすじを追いかけるだけでも、この幻の作品が、その後作られる多くの映画に影響した可能性が示されるとともに、”空を飛ぶ”ことの夢は日本でいえば手塚治虫や宮崎駿へとつながっていることを想像する。
チャップリンが生きた時代を超えて、彼が単なる映画というジャンルを突き抜けた創造力をもたらす存在だったことを示す素晴らしい本だった。
個人的なチャップリンに対する思いと、チャップリンを次世代に伝えたいが伝わらないというジレンマが相克する。サイレント映画時代からチャップリンが世界に影響したアイコンとしての凄さを、なんとか未来につなげたい。そう思わせる本でもあった。
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