「マンジャーレ!ノンナのレストランへようこそ」

dalichoko(ダリチョコ)

「倍ビッグマックとノンナの映画──朝4時起きの日記」 -



どんな映画もそうですが、冒頭のシーンのリードがその映画全体の印象を決めると思います。


この映画Nonnaでは、ドーナツ屋さんで買い物をする少年が家に帰ると、母と祖母がキッチンで料理をしている美しい美しいシーンがあります。このわずか数分のシーンだけで、この映画の魅力の大半が伝わってきます。


料理映画は表現が難しいジャンルです。香りも味も伝わらないスクリーンで、どうやって「美味しさ」や「温かさ」を観客に伝えるのか。それを見事に成功させています。ルカ・グァダニーノ監督の『ミラノ、愛に生きる(原題:I Am Love)』の、料理に陶酔する女性の描写も印象的でしたが、この映画もそれに劣らず、料理を通して感情や文化が映像で伝わってくる作りになっています。


映画のタイトル『Nonna』はイタリア語で「おばあちゃん」という意味らしいです。冒頭の、少年に味見させる祖母と母の微笑みのシーン。このわずか5分程度で、この映画がどれほど素晴らしいものになるかが伝わります。本当に印象的なシーンです。


この物語は実話がもとになっています。店の名前はエノテカ・マリア。エノテカは「ワイン食堂」という意味なんですね。母親を亡くした独身の主人公が、イタリアの古き良き味をマンハッタン(スタテン島)で提供しようと奮闘する姿が描かれます。



もちろん、店は簡単には成功せず、借金返済も滞り、閉店の危機に直面します。しかし、地元で出会ったおばあちゃん(ノンナ)たちに料理を作ってもらい、店を盛り上げていくのです。四人のノンナたちにはそれぞれ過去や悩みがあり、彼女たちが移民としてアメリカに渡り、イタリア料理を守り育んできた姿が神々しく描かれます。


さらに特筆すべきは、スーザン・サランドンタリア・シャイア(最初気づきませんでした)などの大女優を惜しげもなくおばあちゃんとして登場させた演出です。タリア・シャイアが修道女を辞め、この場所に来た理由が明かされるシーンも忘れがたい瞬間です。彼女たちのキャリアを思い出すだけでも胸が締め付けられます。


物語の最後で主人公が母からの手紙を開封する場面。ずっと開かれなかったその手紙の内容に、抑えていた涙があふれます。冒頭の美しいキッチンのシーンがここでよみがえるのです。


監督のスティーブン・チョボスキーは『ウォールフラワー』の監督でもありますが、この映画でも見せるシーンと画面に出さないシーンを巧みに使い、観客の想像力をかき立てます。


日本の料理映画と比べると、イタリア映画で料理を扱う場合には必ず家族の存在が描かれます。家族の絆と伝統が、家庭料理を通して自然に語られる。日本とは異なり、互いを罵り合いながらも深い本音で付き合ってゆく姿も印象的です。


料理、家族、伝統、そして心のつながり。すべてが美しく絡み合った『Nonna』は、心から感動できる映画です。涙なくしては観られません。


◆心温まる驚き(ベンジャミン・リー)



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