すばらしき世界
どうだろう。
いま日本で世界的に信頼を得ている映画監督というと誰か。
一人は昨年『朝が来る』をリリースした河瀬直美監督、そしてもうひとりが西川美和監督ではなかろうか。この二人は日本を代表する”女性”監督、という領域を超えて、日本を代表するツートップといえる存在だと思う。奇しくもカンヌで『万引き家族』が評価された是枝裕和監督とのつながりが深い西川美和監督の新作もまた、世界的な評価を獲得しているようだ。
映画『すばらしき世界』15秒CM(問題作編) 2021年2月11日(木・祝)公開
『すばらしき世界』を初日に鑑賞した。もうとにかく素晴らしかった。笑って泣いて、役所広司さんが演じる純粋無垢な元ヤクザ。人生の大半を刑務所で過ごした正直な男を、もう最後の最後のあたりはまともに見ることができなくなるほど胸を締め付けられる映画。本当に本当に素晴らしい映画。
この映画、オープニングでは全くタイトルが出ない。映画のタイトルやテロップが全く出ない映画だ。しかしその意味は最後の最後にわかる。ヤクザから足を洗おうとする正直な男が、昔の仲間だったヤクザを訪問するシーン。ここで彼はある印象的な言葉を聞く。そしてその言葉の通りに必死に生きようとする。必死に生きた彼の聞いた言葉を背景に、最後の最後に映画のタイトルが表される。
もうこのラストで自分は号泣した。アンチテーゼといってもいいだろう。この矛盾した社会に真っ向から立ち向かおうとする主人公を我々はどう見つめればいいのだろうか。
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