TOXIC TOWN 「正義は誰のためにあるのか」
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TOXICとは「有害」という意味です。日本語タイトルをつけにくい作品だったのかもしれません。4話からなるドラマの第1話はなかなかきつい内容で、思わず「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」や「レインメーカー」、日本では原一男監督の「水俣曼荼羅」を思い起こしました。
同じ時期に生まれた子供が奇形だったり、生まれてすぐ亡くなったりする異常事態。しかし行政は動かず、むしろ隠蔽のために権力を行使していきます。地方行政のトップと企業が結託し、疑惑の芽は次々と握りつぶされていくのです。
第2話からは弁護士役ロリー・キニアの登場で展開が大きく動きます。そして何より、息子が奇形で生まれた母親スーザンを演じるジョディー・ウィテカーの熱演。夫に去られ、母親のせいにされながらも絶望から這い上がる姿に圧倒されます。彼女の夫は子供が奇形だと知って家を去りますが、裁判が始まって賠償金が貰えそうだと聞いて戻って来るというとんでもない男です。
スーザンを中心に、疑惑を抱く職員テッド、正義を貫こうとする議員サム、母親たちを支える弁護士のデス(ロリー・キニア)、そして企業を守ろうとする地方議会。権力と市民の闘いが描かれます。
スーザンが成長した息子と向き合う場面。何度も手術を繰り返してきた彼に「あなたのその手が好きよ」と語りキスをするシーンは涙なしには見られません。
裁判が始まり、子を亡くした母トレイシーが夫に「何を考えているの?」と聞かれて答えるひとこと――それがこのドラマの核心です。
危険を知りつつ経済を優先する政治の構造。「JAWS」の市長を思わせるように、行政はどうしても企業の味方をしてしまう。実話に基づく物語ですが、演出は極めてドラマティックで、資本主義社会の残酷さを強烈に浮き彫りにしています。
ちなみにトレイシーの答えは「正義」。しかしその「正義」がいかに脆弱で、資本に翻弄されるか。本作はそこに深い問いを投げかけています。
どんな形で生まれてきても、その子を愛することができるのか。「チョコレート・ドーナツ」や「誰も知らない」、「あんのこと」など、いろんな映画が浮かびます。
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