#ダリチョコ の映画とグルメ

しょーもないブログです。I am stupid anytime.

浜田省吾 A Place in the Sun at 渚園 板屋宏幸監督

昨日の記事に矛盾するが、音楽そのものは時代を写す。

特に、ライブでその場所に居た、という事実は変わらない。その時代に存在したことは間違いない。


浜田省吾というとライブ・ライブの圧倒的な迫力だ。思い出としては「J.Boy」。アルバムが出て代々木で行われたライブを友人と体験した。すごいライブだった。オープニングの「A New Style War」から怒涛のようなライブに胸を打たれる。この曲は自分にとってマイ・フェイバリットだ。中盤で演奏される「路地裏の少年」そしてラストのアルバムタイトル「J.boy」まで、浜田省吾の先見性を受け入れた瞬間を今も忘れない。

On The Roadが彼の人生だ。道の上に彼の人生が存在し、それをときに道標としてわれわれは彼を追い続けてきた。キネノートにもレビューを書いた「浜田省吾



この映画のセットリストは4時間以上にも及ぶ当時のライブの半分程度だが、十分臨場感のある作品に仕上がっている。

オープニングは、この日の劇場で配られたものと同じチケットを手に持って渚園の芝生をダッシュで駆け抜けるファンたち。その中に自分はいない。しかし同じ思いを共有する。

「路地裏の少年」を一曲めに選んだ理由はなんだろう。浜田省吾35歳。今から35年前の渚園がひとつの節目だったのだろうか。この物語性の高い楽曲に込められた思いを推し量る。行き止まりの路地裏で砕かれて手のひらから落ちた22歳。カネで買えないものを見つけた「終わりなき疾走」。君の親父の車を夜中に盗んだ「ラストショー」。

HELLO ROCK AND ROLL CITY」はこの映画のタイトルを含む楽曲。スティービー・ワンダーの「太陽の当たる場所」は、この渚園のことだ。そして彼が出演したあの大イベント「サマー・オブ・ソウル」がここに重なる。なぜか波がが止まらない。ウッドストックから弾かれた黒人のムーブメントが、今目の前のスクリーンでにわかに重なろうとする。音楽は時間も国籍も超越する。

ステージは基本的にシンプルだ。楽曲だけで押し通す。当時のMCを全く入れないだけに、その迫力ある音と映像が攻め立てる。「愛のかけひき」でひとり生きる自分を描く。「MONEY」や「マイホームタウン」では膨張する経済と滅びゆくこの国の未来を予言する。バブル経済でうかれた社会は「丘の上の愛」で、愛が買えるかどうかを問う。

そして「A NEW STYLE WAR」に至っては、世界の分断を予言したようなテーマを突きつける。自分にとってフェイバリット。政治色の強いこの楽曲は、いまこの国が軍国化に向かおうとするこの瞬間にこそ求められる。「明日なき世代」は社会のフィナーレを描き、魂を売り買いする社会の愚かさに至る。大作「僕と彼女の週末に」でライブはクライマックスを迎える。この曲の”週末”は”終末”のことだ。浜田省吾はかねてからこの国、この地球が滅びゆくことを懸念してステージからそれを訴えかけている。残念ながらわれわれは彼の問いに何も応じることができず、彼の予想した破滅(デフレ)の国に到着したらしい。最後の「愛の世代の前に」はまさに世界が絶望に至ることを暗示する。

それでも「J,boy」では、戦い続けることに意味を見出し、「DARKNESS IN THE HEART」で父親に死体に勝利も敗北もないことを認め、「ラスト・ダンス」を踊らされる。社会の中で、目的もなく終わりのない踊りを踊らされて老いてゆく。映画はここで終わるが、エンドロールで流れる「君が人生の時...」もまた意味がある。費やした愚かな時間もまた人生だ。


35歳の省吾さんはとてつもなく大人で、あれだけの大イベントにも関わらず、全力で疾走するが、最後のほうになると不思議と冷静に佇んでいる印象だった。そしてあらためて浜田省吾さんの楽曲の多くが、あまりにもネガティブなことだ。あまりにも暗い。そしてそれがまた極めて暗示的で未来をズバリと予言するような曲が多いことと、メロディーの軽やかさや激しさで、われわれは彼の本当に言わんとすることを誤解して受け入れてきたのではないかと思う。自分にしたら「J.boy」そのものだ。要するに忙しいふりをして生きてきただけだ。中身などない。価値もない。失われた時間を取り戻すこともできずただ省吾さんの力強い楽曲にうなずき、そんな惨めな自分を憐れむような時間だった。

しかし、この長い時間をかけて、「J,boy」に描かれた”豊かなこの国”はもうない。むしろ「マイホームタウン」で描かれた殺伐とした刺々しい郊外の街が空洞化して、恐ろしく高齢化した目を覆うような国がいまここにある。
(=^・^=)


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