青春 ワン・ビン監督
「青春」
久しぶりのイメージフォーラム。ワン・ビン監督の「三姉妹 雲南の子」もここで鑑賞したはずだ。ここには「アートなんかいらない!46億年の孤独」以来。
「青春」は、2014年から5年間に及ぶ長い時間、長江デルタ地域で過ごす子供服の製造工場で働く若者たちを追うドキュメンタリー。この長い時間を我々は彼らと共有することになる。自分もそこにいるような没入感が生まれてくる不思議な映画。
若者がひたすらミシンを動かすシーンをカメラはじっと見つめるだけ。たったそれだけの映画を見るのに3時間40分。彼らは寮生活の中、職場の仲間と飲んだり食べたり遊んだりしてわずかな給料をもらって過ごしている。給料は現金払いで紙幣には中国の偉人が刷られている。札束が飛び交うシーンは驚きだ。ここがかつて共産主義計画経済だったことを消し去るようなドラマ。
職場の仲間と喧嘩したり恋愛したり遊んだりする中、社長と賃金闘争をすることになる。零細企業の社長も簡単に賃上げに応じるわけにはいかない。そんな関係をもこの映画は容赦なく映し出す。マクロで世界2位のGDPを誇る中国の片隅で、汚れた建物とゴミ溜めのような場所で過ごす若者の熱気が伝わる。彼らが中国を支えているのだ。
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