アヌジャ、"Firefighters"(消防士)
「アヌジャ」
アカデミー賞ノミネート - 貧困少女(9歳)が700円を稼ぐために始めた商売 | アヌジャ | Netflix Japan
先ごろ発表されたアカデミー賞にノミネートされたインド映画。
ファストファッションの普及拡大によってもたらされたひずみが描かれている作品だ。工場のオフィスに男性が来て、工場主に違法労働させている疑いをかける。この男性はどうやら教師で、この少女に真っ当な教育を与えたくてこの工場を訪ねてきたようだ。教師は「火曜日の8時に試験を受けに来るように」と伝える。
工場主はこの少女の才能を知らず、試しに計算をさせてみる。「1日14時間働いて40人働く工場で30分1着作れるとして、7日間にどれだけ生産できるか」という計算に即答するアヌジャ。電卓をたたくと答えが一致しないが、アヌジャが帰りがけに「1日15分の休憩がありますよね」と応じる。このあたりの語り口が見事。計算問答で過酷な未成年労働を暴露させる。工場主は「火曜日の8時にオフィスに来い。特別待遇の仕事を与える」と言う。
アヌジャは学校か工場か、教育か給与か、どちらかの選択を求められて映画は終わる。エンドロールのテロップで、アヌジャ役を演じたサジダ・パタンさんと同世代の子どもたちが映画を鑑賞し、アヌジャと姉が隠れて作った手提げ袋を売り歩くシーンで大笑いする。
ワン・ビン監督の「青春」という映画が重なる。若いエネルギーが過酷な労働に費やされ、彼らの青春が蝕まれる。こうした犠牲の上にファストファッションはプラスチック汚染をもたらし生態系を崩し貧困を生み出しているのだ。
しかし、映画はまったくこうした背景を語ることなく、アヌジャという少女の目線だけを追い続ける。見事な作品だった。
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