リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界、"Örkesh Dölet"(天安門の記憶)
◆リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界(KINENOTE)
ここからニュージーランドネタを少し離れて、鑑賞したまま放置された映画について備忘録を残そうと思う。まず1本目が「リー・ミラー」。実はこの映画を見終えたあと、成田からオークランドに向かったのだが、飛行機の中でもこの映画を上映していた。
リー・ミラーというと個人的にはマン・レイが結びつくのだが、この映画はそっちではなく、第二次世界大戦中従軍カメラマンとして活躍したリー・ミラーを描くものだ。それは「シビル・ウォー」に呼応するものだ。あの映画でキルスティン・ダンストが演じたリーこそ、リー・ミラーなのだ。
◆マン・レイと女性たち - (リー・ミラーの唇)
知的で感情的で惚れっぽくて正義感に溢れる女性。映画の冒頭はリーがインタビューに応じるシーンから始まる。物語の進行中時々挿入されるインタビューシーンは極めて重要。この会話が物語を生み出している。冒頭のシーンでリーはインタビュアーに向かって「何も思い出せない」と話している。ここはサスペンスっぽい。
しかし戦場に赴いてからの彼女は凄まじい。間近に落ちたミサイルの音に驚くシーンなど、目の前で起こるありとあらゆることが現実だ。この現実をつぶさにきざみ取り「Vogue」誌へ投稿する。これが彼女の生き様だ。モデルとして契約した雑誌に戦場の写真を送りつける彼女の頑なな意思は、写真が世の中に現実を知らせる道具であり、それによって世論をも動かす可能性があることを彼女は体感で知っていたのではないだろうか。
エレン・クラス監督は、この映画の時代と現代が似ていると言っている。ということはこの映画と「シビル・ウォー」の間に現代があるということか。現代は写真を加工することなど誰でもできる。フェイクニュースの精度が上がることは、現実があまりにも陳腐だからだ。フェイク画像(映像)が現実を消し去り暴徒化している。
この暴徒化という現象は”戦争”そのものではないか。
リー・ミラーが自殺したヒトラーが使っていたバスタブに自ら入り写真を撮らせる。ずっとカメラマンとして従軍してきた彼女が最後にかつてのようにモデルとなる。しかも戦士として。
ケイト・ウィンスレットは自らこの映画の製作に関与し、自ら体当たりの演技で見る者を魅了する。彼女はリー・ミラーについて徹底的に調べ上げ、彼女の世界にリー・ミラーを見事に落とし込んだ。
Kate Winslet’s “Lee” Profiles The Fearless Lee Miller, Witness To The Horrors Of WWII
★
★
ウイグル人のウーアルカイシ氏について、ガーディアンが興味深い動画を配信している。天安門事件の記憶を呼び起こす貴重な映像だ。たった3分の映像だが、学生運動を国家が力で弾圧する姿が見事に示される。国家は常に国民を騙し弾圧しようとする。それは1989年の中国に限らない。
◆天安門広場の抗議活動中にウイグル人だったと語る亡命民主化活動家

