#シビル・ウォー アメリカ最後の日 アレックス・ガーランド監督

シビル・ウォー アメリカ最後の日


67kg "обязан и вправе(権利と義務)" - 



この映画で大統領役を演じたニック・オファーマン(映画の冒頭とラストで印象的なシーンを演じる)が2000年に主演した「White Shadow 白イ陰」というショートフィルムが都内2個所で上映される。貴重な作品なのでご興味のある方はぜひ足を運んでいただきたい。核の脅威に怯える家族を描く。「シビル・ウォー」とも大いに重なる映画だ。


アメリカが分断される映画と聞いて驚くことなどない。もともとこの国はリンカーンの頃から分断されていたからだ。しかし、この映画をいまここに示すことの意味は大きい。アメリカ大統領選の最中であるということと、イスラエルやロシアなどが関わる大きな戦争を疑似体験させるとい意味で価値のある映画だ。そしてこれが10年後100年後に再評価される日が来るのではないかとも思わせる。


しかしこの映画は戦争映画ではない


強いインパクトを与えるシーンがいくつかある。ひとつは「どのアメリカ人か?」と銃を突きつけられて死体が埋まる穴に突き落とされてもがくシーン。もうひとつは、戦争にまったく無関心で平穏な街のシーン。このふたつは対比的で現実的だ。ガーランド監督は意識してシーンと音楽を対位法で描いているように思える。悲惨なシーンに明るい音楽を重ねる。黒澤明監督が使った手法だ。


つまりこれらのシーンは戦争が起きている国を切り取ったものだということだ。切り取ったのはカメラであり、ふたりの女性カメラマンのドラマである。戦争そのものを描く映画ではない。デジタルカメラを持つベテランカメラマン(キルスティン・ダンスト)と、アナログのフィルムカメラを持つ新人(ケイリー・スピーニー)が同じ道程を進む中でシンクロしてゆくというドラマ。カメラの危険性を描くものでもある。アナログカメラが最後に捉えたいくつかのシーンは、映画史上に並べても名シーンと言える。


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どこか遠い国で起きている戦争が、死体の上で平穏に暮らしているという自覚を失わせる社会にあって、動画ではなく写真を扱ってそれを示そうとする作り手の冷めた狙いが強く伝わる映画。終盤、ホワイトハウスを襲撃するリアルなシーンの音響が残響としていまも残る。ニック・オファーマン演じる大統領が吐くことばもリアルだ。


言うまでもなく、これは映画館で見る映画。できれば大音響に目を覚ます機会にしてほしいと思う。



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町山智浩さんが念入りに2回もこの映画を宣伝している。




さらにマクガイヤー博士と対談で、元ネタを割っている。



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