人間回復の経済学 ③ 人間のための未来

dalichoko(ダリチョコ)
人間回復の経済学 (岩波新書)
人間回復の経済学 (岩波新書)
岩波書店
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6.経済の論理から、人間の論理へ


2002年に出版された本書『人間回復の経済学』は、当時の小泉構造改革がいかに非人間的な新自由主義による破壊をもたらすものであったかを明らかにし、スウェーデンの政策との対比を通じて市場原理主義を厳しく批判している。


改めて思うのは、森永卓郎氏が強く批判した竹中平蔵氏が閣僚を務めた小泉政権が、いまだにまともな総括をされていないことだ。むしろ近年では、世襲による「人気取り」の人選で閣僚が決まるような現実があり、与党に自己批判機能が欠如していることを深刻に受け止めるべきだろう。


民主主義とは、知恵ある人間=ホモ・サピエンスによって築かれた制度であり、働く者が搾取されることなく敬意を持って扱われ、教育が社会の中心に据えられるべきである。本書は、まさにその意味での「人間回復」を提起している。


ケインズ主義を一概に否定するのではなく、その精神を引き継ぎつつ、市場経済と社会システムを融合させ、シュンペーターが理想とした「ワークフェア国家」へと向かうべきだ――本書はそう主張している。


7.人間のための未来へ


岸・中曽根・小泉・安倍という歴代政権が進めてきた「構造改革」は、日本社会を崩壊の淵へと導いた。これらの政策が生み出したのは、多利ではなく利己心に支配された「経済人」であり、政治と経済の癒着は今も人間社会を蝕み続けている。


近年増加する犯罪、自殺、薬物依存(あるいはスマホ中毒のような依存症)――それらも、利潤最優先の社会の行き着いた先である。


人間らしく生きるためには、労働が尊重され、労働者が確保できる「自由時間」が真に幸福を味わえる時間でなければならない。しかし日本では、実質的な労働時間は一向に短縮されていない。


未来に希望を持てない国。2000年代初頭にはすでに、子どもたちの7割が「大人になったら不幸になる」と予想していたという。今思えば、この国はすでに20年以上前から未来を失っていたのだ。


著者は、この社会の疲弊を「経済学の失敗」として自ら責任を感じている。アダム・スミスの「神の見えざる手」に頼りすぎた結果が、今のこのありさまであると。


本来必要なのは、「ホモ・エコノミクス」の育成ではなく、「ホモ・サピエンス」の育成である。つまり、個人の利益ではなく、社会の知恵を育む方向に経済をシフトさせるべきだ――それが本書の結論だ。



最後に:改革ではなく、革命を


読み終えて思うのはひとつ。この国はやはり、自民党政権・官僚・大企業が結託することで、国家としての正常な舵取りを誤ってしまったということだ。この「失われた30年」を取り戻すことは、もはや不可能に近い。


そもそも、「改革」という言葉が都合よく使われてきたが、その実態は現状維持の言い訳にすぎなかった。いま必要なのは、本質的な「変革」――つまり革命である。


足立正生監督の映画『Revolution+1』には、そのヒントが隠されているように思う。


世界で最も自己中心的で、しかも他国からリスペクトされないアメリカが、なぜこれほど国際的な影響力を持ち続けるのか。その一因は、政権交代が「革命的」規模で起きることにあるのではないか。閣僚も官僚も総入れ替えになることで、国民は一定の犠牲を払ってでも国家を信頼しようとする。


人種のるつぼであるアメリカでは、対立すら「かき混ぜる」ことで撹拌され、再構築が可能になる。一方、日本のような単一民族国家では、硬直的な現状維持が制度疲労を生み、いっそう変化を拒む傾向が強まっている。


本書が示唆する「フラット社会」の構想には賛否両論があるだろう。ピラミッド型組織に慣れ親しんできた私たちにとって、それは受け入れがたい発想かもしれない。しかし、だからこそ考える価値がある。


少なくとも、今の日本には日本にふさわしい「革命」のかたちがあるはずだ。

確信するのはひとつ――もはや改革ではなく、革命こそが求められている、ということである。


おわりに


いかがでしたか。

資本主義社会のもたらす「人間らしさの喪失」を鋭く描き出した、まさに現代にこそ再読すべき一冊でした。もし何かご意見やお気づきの点があれば、ぜひコメントをお寄せください。


勢いで書いたため誤字脱字などあるかもしれませんが、最後まで読んでいただきありがとうございました。



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