世界経済史講義 ① 水野和夫/島田裕巳著
- 世界経済史講義 (ちくま新書)
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経済学者の水野和夫教授と宗教学者の島田裕巳教授の対談本。
第一章 経済の始まり
13世紀に「資本」が誕生して以来、利子の概念に縛られた人類は”今日より明日が良くなる”という神話に導かれてきた。水野和夫先生はブローデルの「地中海」と遭遇したときの衝撃を語る。島田裕巳先生は、旧約聖書が実はユダヤ教のトーラー(律法)とほぼ同じであることを解説する。ここは重要。
第ニ章 ローマ帝国に見る帝国と経済
「農業革命とエネルギー効率」は、狩猟よりも効率がいい農業が始まり、領土拡大に伴って帝国が誕生した。ここで地主と農民という関係が始まり、同じ頃機械時計が労働者の行動を計測するために発明されたという。
マイケル・ドイルの「帝国の本質」から、
1、中央統治機構が存在する。
2、抵抗力の弱い周辺国がある。(例えばアメリカにとっての日本)
3、中心と周辺をつなぐ装置がある。
と定義づけされている。
ユダヤ教をパクったキリスト教が拡大する中、もともと「利子を禁止」しており、清く貧しくが理想とされた。「タラントンのたとえ」でもカネを持ち続ける者は悪しき者とされた。
第三章 テンプル騎士団からメディチ家 貨幣と金融の時代
1379年にメディチ家が設立した銀行が始まりとされる。
ここでイスラム経済について紹介される。もともと商人だったムハンマドは、コーランの中で商売に例えた。彼らは組織を頼るという考えがないため「法人」という概念がない。お金を貯め込まない、使わないとダメだという教えは、余ったお金を「喜捨」することで弱者を保護するものとされた。
テンプル騎士団は、エルサレム奪還のために十字軍を組織するが、進軍のためにカネがかかる。そのため闇の銀行が設立され、事実上の不動産業を営んでいたらしい。
メディチ家もテンプル騎士団も暴力を介在して勢力を拡大した。メディチ家はもともとギャングだったらしい。
マルクスは「資本主義の根源的蓄積は暴力から始まる」と言っている。帝国の宿命として、経済が発展しないと収奪(戦争)を始めるしかない。
宗教面でも教会を中心とする組織も運営にカネがかかるため、結果としてキリスト教徒がユダヤ人の債務奴隷にされた歴史が、昨今の宗教戦争に影を落としている可能性がある。
つづく・・・
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