アドレセンス、"First American pope"(レオ14世選出)
Adolescencia | Tráiler oficial | Netflix
主演は「ボイリング・ポイント/沸騰」のスティーヴン・グレアム。あの映画もワンカット90分でつなぐ行き詰まるレストランの厨房を描く映画。スティーヴン・グレアムは共同で「アドレセンス」の原案を作成している。「ボイリング・ポイント」と同じで、各話ワンカットで撮り切る。Netflixでないとできない映画だ。
ガーディアンのレビューが珍しく★5をつけ(「数十年ぶりのテレビの完璧さに近づいた」)、ロッテントマトで99%の支持があり、スターマー首相がこのドラマについてコメントしたことでイギリスでは大きな反響となっている。彼は「複数の問題を明るく照らすたいまつ」と表現し、中学生がこのドラマを可能とするべきだとしている。
ドラマ自体はシンプルだが衝撃的だ。いきなり警察官が民家に立ち入り中学生を逮捕する、という始まり。中学生とその家族の身分を守り、弁護士などを準備したうえで、この少年が同級生の女子を殺害した動画を見せつけて終わる。同席した父親は信じていた息子の行為に落胆する。第2話は警察の目線で学校内の荒んだ風景が描かれてゆく。するとどうも、容疑者の少年を殺害された少女がネットでいじめていたのではないかとい疑惑が生まれる。さらに、殺害された動画は捏造されたものではないかと疑われる。第3話は、捕らえられた少年と女性の精神鑑定人との対峙。個人的にはこの回が最も印象に残った。少年の態度が鑑定人の質問によって激しく変化する。第4話は彼の家族。頑固な父親と母に姉。三人は家の車にく書きされ傷つくがお互いに助け合おうとして終わってゆく。
しかし、ことはそう簡単ではない。
この写真が極めて多くを語る。少年は補導されてからずっと父親を頼る。父親も息子を信じているようだが、少年が本当に殺人者かどうかで悩む。父親は頑固で強引な印象だが、努めて冷静に振る舞おうとする。しかし少年は明らかに強い父親を恐れている。恐れている父親を頼らなければならない現実。父親という存在がいかに暴力的かを示すドラマであることが次第に明らかにされてゆくのである。第3話で女性鑑定人が少年に父親の話題を切り出そうとすると少年はキレて暴れまくる。
ラストでその父親が妻に告白するシーンは涙なくして見ることはできない。この父親もまたその父親から暴行を受けており、自分はそういう父親になりたくないと信じてきた。しかし自分の父親と違う行為を目指すことで、より見えない暴力で少年にストレスを与えてゆく。父親は言葉の端々に「この子はなさけない子だ」というようなこと口にする。そういう父親の心理を子供は察している。
この少年を補導した黒人警官もまた同じ学校に通う息子との関係に微妙な空気がある。父と息子という関係が多重構造になって暴力化してゆく。この写真に描かれる少年が父親を見る疑わしい目線こそがこのドラマのテーマだ。彼らは同じなのだ。
ふと自分も父親のことを思い出す。子の立場で見る父親と、当事者である父親は言うまでもなく違う。しかしそこには抗えない同じ血液が流れていることに気づかされる。まさに「血は争えない」ということか。ある種のホラー映画のようだ。
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◆レオ14世がアメリカ人初の教皇に選出
フランシスコ逝去に伴い行われた「教皇選挙」の結果、プロテスタントの国アメリカからカトリックの教皇が選ばれた。「ロバート・フランシス・プレボストが米国初の教皇に就任、レオ14世として知られるようになる」(ガーディアン)、「新教皇レオ14世のアピールに世界中から反応が殺到」(ル・モンド)などと報じられている。
