戦時から目覚めよ③ 「自由は平等を意味しない」
- 戦時から目覚めよ 未来なき今、何をなすべきか (NHK出版新書)
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第12章 狂気のリズムにブレーキをかけろ
「地獄の黙示録」でカーツがウィラードに殺されて、最後に口にした言葉は「ホラー(狂気)」だった。いままさに世界の文明は狂気に苛まれている。
トランスジェンダーの若者が法律で男性と認められた日に自殺した
とはまさに狂気だ。SNSの普及でキャンセルカルチャーがはびこる中、「絶え間ない変化」という狂気がとてつもなく加速している。ジジェクはこれにブレーキをかえようとしている。
自由は平等を意味しない
とし、枠組みそのものに疑問を投げかけるべきだという。情報が膨らみすぎて、民主主義は選択肢が多くて選べないフリーズ状態だ。特にメディアが「進歩だ」という裏には巨大資本が傘になっていて、進歩がむしろ後退だったりするものだ。
ここでジジェクは世界で飢餓状態が広がることに注目し、イーロン・マスクの資産2%で世界中の飢餓問題は解決するという。そして新自由主義資本主義社会にあって、富裕層に対しては課税だけでは足りないと主張する。特にビル・ゲイツもザッカーバーグも独占の果実を手に入れた者たちは、彼らの開発した道具(フェイスブックなど)を公共に見せかけて、公共を失わせる作りにしていると批判する。
我々は常に手遅れとなった状態からなにかを始めようとする。少なくとも「パレスチナとウクライナの抵抗を認めた」うえで、対戦国に対するケアを自国の利益を度外視してお行うべきではないかと問う。
これらはジジェクの主張のごく一部だ。そしてこの本が日本で出版された5月から半年が過ぎ、世界はさらなる混乱の輪を広げつつある。
◆67kg "отравлен в тюрьме(毒殺)" - #ダリチョコ の映画とグルメ
少なくとも、ナワリヌイの毒殺とアサンジの移送はこの本で追いつけていない。
ちなみに、この本が日本で出版された頃、ジジェクはクーリエのインタビューに「剰余享楽」について応じている。
ジジェクの視野は広く、スピードも早いのでとても追いつけないが、今後も注目に値する行動を続けることだろう。
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