こんな世の中に誰がした?①ー上野千鶴子さんが語る不平等

- こんな世の中に誰がした?~ごめんなさいと言わなくてもすむ社会を手渡すために~
- 光文社
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先日ラジオで神津カンナさんが、子供の頃三島由紀夫に「どんな本を読んだらいいの?」と聞いたら、「本はめぐり逢いだから、片っ端から読め」と言われたそうです。
最近読書量の落ちているわたくしですが、この本はまさにめぐり逢い。
「女性の休日」という映画を鑑賞したあとのトークショーで、上野千鶴子さんのお話をお聞きすることができ、その中で話題になったのがこの本です。「ごめんなさい」と言わなくてすむ社会を手渡すために、昨年1月に出版された本です。
本の始まりは、2019年、上野さんが東大生に向けた祝辞から始まります。受験戦争を勝ち抜いてきた最終学府の入り口に立つ勝ち組の学生に向けて、この世の中が「安心して弱者になれない社会」であると牽制します。優しく厳しいメッセージです。
中野円佳さんの著書にもあった、フェミニズムの罠についてここでも言及されています。
PART1 仕事
日本の女性の給与水準はOECDで最下位に近いそうです。それほどまでに、この国は女性を虐げてきた歴史があり、いまもそれは続いています。その果てに激増する貧困高齢女性は「人を傷つけない程度の罪で刑務所に入るしかない」、これが現実です。
就職氷河期(ロスジェネ)になし崩し的に広まった非正規社員。非正規を手放すと、生涯賃金2億円を損失するとも言われます(「2億円と専業主婦」橘玲著)。さらに、大きな犯罪、「秋葉原無差別殺人」「安倍元首相銃撃」「京アニ火災」も、全て非正規の犯行です。
中でも女性の非正規は、シングルマザーになると生存の危機に瀕します。900万人とも言われる貧困シングル女性は、政治によって作られました。こうした格差拡大は二流国家、三流国家へと向かいます。不思議なのは、こうした弱肉強食社会を加速させた小泉政権を、氷河期世代(ロスジェネ)が支持したことです。これは、資本を丸呑みして正義を忘れたメディア、マスコミの責任だと思います。
男女雇用機会均等法の成立が美談として伝わりますが、これは嘘です。女性が男並み、あるいはそれ以上にがんばれば雇用機会を与えるよ、という大企業の理屈が押し付けられただけです。最近就任したどこかの国の女性首相も同じ。男性以上に卑屈にならないとトップには立てません。雇用の平等ではなく機会の平等が現実です。これは平等とは言えません。
男並みに頑張る女性とそうでない女性に格差が生じる。これがこの社会の現実です。
津田大介さんがリードした「あいちトリエンナーレ」は画期的でした。男女の作品を数で平等にしようとしたのです。美大生は女性が7割なのに、美術教育の現場は男性が9割。このビハインドを跳ね返そうとする画期的な試みでしたが、「表現の不自由」問題で津田さんの試みは潰されました。
強大な権力がなにもかもを不自由にさせる国。それが我が国なのです。