テクノ封建制② 「クラウド領主とデジタル植民地の未来」

dalichoko(ダリチョコ)

前編(第1〜3章)では、資本主義が「クラウド資本」によって姿を変え、私たちが無意識のうちに農奴化していく過程を追いました。後編(第4〜7章)では、クラウド領主の台頭、米中対立、そしてこの「新しい封建制」からの脱却への道を探ります。


テクノ封建制 デジタル空間の領主たちが私たち農奴を支配する とんでもなく醜くて、不公平な経済の話。(集英社シリーズ・コモン) (集英社学芸単行本)
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集英社
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第四章 クラウド領主の登場と利潤の終焉


クラウド資本は、人々の関心を惹き、絶えず欲望を掻き立てます。

リーマンショックで世界の資産が減っても、その働きは止まりません。日本も40年近くデフレなのに、スマホは24時間あなたの欲望を刺激し続けています。


興味深いのは、クラウド領主にとってもはや利潤が目的ではない点です。資本主義では利潤は再投資されますが、ここではその循環がなく、著者はこれを「貨幣が腐った」と表現します。


第五章 一言で言えば?


著者は「レント(地代)が利潤を凌駕した」と結論づけます。

クラウド領主は人々の関心を支配することで、資本家からもレントを徴収しています。しかしそれは、マルクスが期待した社会民主主義ではなく、オーウェルの『動物農場』や『1984』のような監視社会に近づいています。


第六章 新たな冷戦


いまアメリカの最大の敵は、中国のクラウド領主です。

アマゾン、フェイスブック、アップル、グーグルに対し、アリババ、テンセント、百度などが競り合い、世界中の欲望を奪い合っています。TikTok規制の背景もここにあります。


中国は「失われた40年」を経験した日本の二の舞を避けようとしており、その間に米中のクラウド資本はヨーロッパや日本を支配下に置いています。


第七章 テクノ封建制からの脱却


著者はこう締めくくります。


「貧乏人は失う自由がなく、奴隷は鎖を愛する。」


クラウド資本は自由な個人を抹殺し、SNSや政治をも支配しています。

しかし著者は、ネットやクラウドの存在を否定せず、奪われるのではなく共有する「コモンズ」への転換を模索すべきだと説きます。


斎藤幸平氏の解説では、日本はすでに「デジタル植民地」だと指摘。20世紀が「マクドナルド化の世界」なら、21世紀は「グーグル化の世界」です。AI社会では知性が劣化し、権力者による監視や誘導が容易になります。さらに、データセンター維持には膨大な電力が必要で、環境への負荷も無視できません。



読後の私見

こうしてみると、「何もしない」という選択が自然の摂理にかなうのではないか――とも思えてきます。ブログを書くことすら、領主へのレント代となってしまうからです。


VODを契約してもほとんど見ずに料金を払い続ける、それもまたレントの一例です。

佐伯啓思『さらば、欲望』、神野直彦『人間回復の経済学』など、これまで読んだ本の知見を総動員しても、結局人間は何かに支配される存在――地球上で最も愚かな生き物なのかもしれません。


読み終えて感じるのは、私たちは便利さと引き換えに、自由も主体性も静かに手放しているという現実です。

著者は「コモンズ」の再構築を提案しますが、その実現は容易ではありません。

それでも、何もせずに流されることこそが、クラウド領主にとって最高のシナリオかもしれません。


本書は、日常の何気ないクリックやスクロールが、どこに繋がっているのかを考えさせられる一冊でした。




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