ミス・マープル「クリスティが見つめた現実の残酷さ」
今朝、ドイツから嫌なニュースが飛び込んできました。親権争い巡る争いで青少年福祉施設で銃撃事件が発生、6人もの方が亡くなったそうです。
・親権争いが犯行の動機か:シュターデでの銃撃事件で6人死亡(APF)
・青少年福祉施設で銃撃、6人死亡 容疑者は拘束―:時事ドットコム
「ミス・マープル」にもよく出てくる相続財産の問題や、高齢者を皆殺しにする事件を題材にした「PLAN75」などが浮かび上がります。
さて、その「ミス・マープル」のシリーズをひと通り見終えました。
ジェラルディン・マクイーワンからマープルを引き継いだジュリア・マッケンジーが温厚で知的な老婦人像を見事に作り上げました。
もともとマープルは、 クリスティの祖母の友人をモデルにした、少々意地悪でゴシップ好きな老婦人だったといいます。しかしクリスティは、その観察眼と洞察力に磨きをかけ、世界で最も有名な名探偵のひとりへと育て上げた。
そして、マープルが出てくる原作は12作。このテレビシリーズはマープルが出てこないクリスティの原作をマープルに置き換えて演出している作品も多いようです。「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」もそのひとつ。極めて難解なドラマですが、最後はラブロマンスを際立たせるすごい結末が待っています。大作です。
単なる犯人探しではないドラマもありました。「鏡は横にひび割れて」は、スター女優にお城のような家を売却した婦人とマープル。ここでマープルはねんざして、家から出られない。電話や証言などを聞いて真実に迫ります。ネタバレになりますが、このドラマの犯人はスター女優自身でした。彼女が産み落とした障害のある子供。その原因となったと思われる女性が現れ、殺意が生まれるというもの。彼女は最後、自らベッドの上で命を引き取ります。クリスティ独特の残酷さ。
しかし残酷なのはクリスティではなく、そこにある現実です。戦争という残酷さ。貴族とい立場を守るための残酷さ。クリスティはこれらを白日にさらしただけで、彼女の心眼はほかのところにあるように思えます。
その例が「終わりなき夜に生まれつく」。原題はEndless Night。ウィリアム・ブレイクの詩からとったこの言葉は重要です。このドラマの主人公は労働者階級の若い男性。彼のナレーションで進むドラマは、上流階級の女性に一目惚れして結婚。そして彼女の死という残酷な物語で、イギリスの階級問題や世相を描きます。ブレイクの詩が効いています。
「殺人は容易だ」
「魔術の殺人」
「蒼ざめた馬」
「青いゼラニウム」
「カリブ海の秘密」
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