じりりた 渡辺哲主演 ニシオカ・ト・ニール作・演出
大学の同級生が監督する映画「明日の献立」に出演されていた渡辺哲さんとたまたま食事をご一緒させていただく機会があって、目の前にあの黒澤明や北野武などこの国を代表する映画監督と空気を共にした俳優のお話を直にお聞きしたことに日があった。
すっかりその日から渡辺哲さんの人となりの虜になってしまって、今回の舞台の宣伝もあったのだろうが、貴重なお時間を頂いて心から感謝している。ファンにとってはたまらない時間。あの日「自利利他って、哲学的な言葉なんだねぇ。」とあの調子でお話されていたのがこれだった。
原作はニシオカ・ト・ニールさん、音楽をなんとあがた森魚さん。あがたさんはこの舞台で声の出演もされている。まさに神の声。そして渡辺哲さんの相方として酒井敏也さん。
ビルの4階にあるシアタートップスは満席。熱烈なファンや、子供さんまで来られている。つまりこの舞台は、広く大勢の皆さんに鑑賞してもらえる内容になっているということだ。
開場時間を少し過ぎて入ったが満席。ちょうど通路に接する席だった。照明が落ちてドラマが始まるまで真っ暗の中で待つ。すると舞台にある2つのベッドの片方にすーさんこと酒井敏也さんが横たわっている。そこに人がいろいろ現れてやりとりしていると、観客席の通路に音がして、なんと後ろのほうからドシドシとまっちゃんを演じる渡辺哲さんが登場。ここからドラマがぐんぐん進んでゆく。
施設でたまたま出会ったおじさん二人が、施設の職員を巻き込んで鳥の卵を育てる、という話し。このストーリーとタイトルが最後の最後で結びつく。物語の最中に「あれ?」と思わせる展開が時々あるのは、最後の最後で理由が明かされる。
とにかく劇場は終始大笑い。舞台の俳優がまじめに演じれば演じるほど劇場は大笑い。時々現れる鳥。空から降りてくる鳥が神のお告げ。あがた森魚さんの声は意味深い。この鳥はまっちゃんとすーさんへ向けて別々に現れる。別々の鳥の違いも最後に明らかとなる。そういうことだったか。
老いとか認知症とかというキーワードはあまり意識させるものではないが、自利利他という言葉の中に、ある種哲学的で普遍的な意味があることを示す。なぜすーさんはまっちゃんと仲良くなろうとするのか。頑固な老人のまっちゃんがどうしてあんなに拒否していたすーさんと仲良くなるのか。すーさんは何者か?そうしたことを想像すると、このドラマの先行きも気になってくる。
身につまされるとてつもなく含意のあるドラマだった。
最後にあがた森魚さんがこのドラマの音楽を担当されたことも意味深い。あがたさんがデビューされた1972年といえば、とてつもなく偉大なミュージシャンがこぞってデビューした年だ。その伝説を背負ったあがた森魚さんがこの舞台で発信する楽曲は、ドラマの進行とは裏腹にポップである種攻撃的。それは老いに抗うような強さを感じさせる印象でとてもよかった。
3月1日まで上演中。若干だが当日券も残っているらしい。
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