ゼロからの「資本論」① 斎藤幸平 過労死はなくならない

2023年1月にNHK出版から出された本を書店で見かけて躊躇なく購入。

世間は斎藤先生の考え方をどのように受け止めるだろうか。本当に素晴らしい本だ。そしてなにより”わかりやすい”。身近な事例を用いて語る切り口が見事だ。切り取ってうちの「バカ娘」に読ませても共感する。これはすごい。


最初に「資本論と赤いインク」という話しが出てくる。

シベリアからの手紙で検閲をくぐるために「青いインクで書いた手紙は真実」で「赤いインクで書いた手紙はウソ」と暗号を決めた。そして送られてきた手紙には「シベリアの暮らしは素晴らしい、ただし買えないものは赤いインクだけだ。」という、笑えないジョークがあるらしい。


第1章 「商品」に振り回される私たち


ここも小ばなしから始まる。

「貯金した金でいったい何をするんだい?」

「そりゃあ、引退したときのんびり暮らすのさ。」

「なんだ、そんなの今も俺やってるよ。」

と南の島の人が答えた。

これは極めて重要な部分だ。我々はなんのためにお金をほしいと思うのか。ここで、この著書で繰り返し使われる「物質代謝」というキーワードが提示される。「ヒトは自然と物質代謝を離れて生きることはできない。」つまり自然界にあるものを食べて出すという循環。
この過程で、本章では「商品」の正体を探ろうとする。そのためのもうひとつのキーワードが資本主義を象徴する「囲い込み」という概念。それは水道水の水はタダなのに、ペットボトルで買うためにお金を払う。そして「商品」は希少性を生み、人々をどんどん貧困へと向かわせる。これが「囲い込み」である。100円ショップの粗悪品はすぐ壊れてゴミになる。いわばゴミを商品化しているという考え方だ。それが「商品」のからくりなのだ。


第2章 なぜ過労死はなくならないのか?


次に「労働」を深掘りする。資本主義社会で犠牲になるのは労働と自然環境だという。「資本主義は”労働”と”富”を”商品”の中に閉じ込めてしまう。」つまり、生きるための労働が、労働(ただ給料をもらうためだけ)のために生きている状態を作る。これもまた「囲い込み」だ。労働によって自由な時間を奪い、奴隷のように扱おうとする。大手企業で過労死が絶えないのは、彼らが奴隷のように働かされているからなのだ。

これらはそれぞれの企業に問題があるが、単純ではない。
ちなみに、かつて奴隷のほうが生存保障され、一定の教育を受けていた事実がある。それと比べてこの現実は奴隷をも下回るものだ。どんなに改善へと向かっても「労働」そのものが改善されない限り、この社会は同じ過ちを繰り返すのだ。


つづく・・・


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