#ダリチョコ の映画とグルメ

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東京都同情塔 九段理江著 芥川賞 「山本陽子さん」



先ごろ発表された第170回芥川賞受賞作品を読んでみた。とても面白かった。


東京都同情塔
東京都同情塔
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冒頭で、イラクの建築家ザハ・ハディッドの話題になる。忘れもしない新国立競技場の設計で一度は内定したデザインを示した方。キールアーチによりデザインが未来を感じさせるものだった。



さて本題だがこの小説、
女性建築家がたまたま出会った若い男性との間で繰り広げられるやりとりなのだが、この建築家は新宿御苑に建てられるタワーの設計を任される。その名も「東京都同情塔」。なんと!


刑務所


である。この刑務所をどう呼ぶか?という始まり。日本語が崩れるのに合わせて、この国が崩壊してゆくことを予測する。小説は言葉だ。物質の前に言葉がある、というやりとりもある。そしてこの小説の中で生成AIが使われていることが重要だ。著者の発言が誤解を招いて、多くの小説が生成AIで書かれている、という印象を与えるがそうではないだろう。少なくともこの小説の中で生成AIと主人公のやりとりがある。これは現実なのだ。


タイトルの「同情」とはシンパシー。つまり受刑者に同情するというコンセプト。受刑者は居心地のいい「同情塔」で生涯生活することもできる。こう書くと意味不明だが、半ば無実の罪で受刑せざるを得ない人たちのことを言っている。貧しい家に生まれ、親から捨てられて妊娠して堕胎したくても父親の同意がなく、自宅のトイレで出産したA子。彼女は万引きをしてそれを高値でネットで販売し子供を育てた。窃盗と詐欺の罪。彼女を同情する。


かつて大島渚監督の一連の作品が、罪を犯した側から描かれたり、その血を受け継いだ足立正生監督もまた犯罪者の立場を描く。その根底には貧困がある。ではなぜ貧困が存在するか?


しかし、この小説はこうした「同情塔」のことを描くだけの作品ではない。この仕組みを作り設計した女性の心情をえぐる内容になっている。ラストでタワーを見上げる彼女の存在の是非を案じさせる衝撃のシーンで終わるのだが、とても読み応えのある内容だった。




過去に読んだ芥川賞作品。


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俳優・山本陽子さん(81)逝去

たまたま先ごろ「八つ墓村」を鑑賞したとき、山本陽子さんの美しい姿をお見掛けすることができた。心からご冥福をお祈り申し上げます。

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