#ダリチョコ の映画とグルメ

しょーもないブログです。I am stupid anytime.

#わが封殺せしリリシズム ①高崎俊夫編 #大島渚

かつてこれほど大島渚を意識するとは思わなかった。「戦場のメリークリスマス」と出会うまでは、大島渚の偉業を知る由もなかった。しかし今となっては、大島渚の残した遺産がこの国にどれほど必要とされていることかと思う。


没後10年 映画監督 大島渚 国立映画アーカイブ 「泉房穂明石市長」 - #ダリチョコ の映画とグルメ


#青春ジャック 止められるか、俺たちを2 井上淳一監督 - #ダリチョコ の映画とグルメ


国家は常に悪だ」という立ち位置は揺るぎない。そんな大島の書いた記事や批評を、高崎俊夫氏が2010年頃に編纂したものを、大島作品と縁の深い坂本龍一さんがお亡くなりなったことをきっかけに再編したのがこの本だ。(そう思うとこのブログも大島渚監督関連の話題が多いと思える。)


坂本龍一さん Ryuichi Sakamoto is gone. - #ダリチョコ の映画とグルメ


第一章 私の生存の意味



冒頭は今井正批評から始まり、三島由紀夫が出演した「からっ風野郎」、ヴィスコンティの「若者のすべて」、あるいはルイ・マルの「地下鉄のザジ」などを語るほか、岡田茉莉子や高峰秀子について文字にしている。「銀座カンカン娘」を批判的に見る目を持ち続けた高峰秀子さんを称賛する傍ら、仲代達矢を”よく飼いならされたシェパード”と表現する。大島の知性と映画に対する冷徹なまでの客観性が伺える。


銀座カンカン娘」は個人的にとてつもなく感動した映画で、志ん生師匠が出てくることや、朝ドラで評判になった「ブギウギ (テレビドラマ) 」の笠置シズ子さんが出ているだけでなく、灰田勝彦さんがリンチされても抵抗しないシーンが心に残る。”そんな自分を偉いと思う”と高峰秀子さんに向かって胸を張るシーンで涙が止まらなくなった。


滝沢英輔の追悼が、この章のタイトルが使われている。大島が滝沢を称して「監督がサラリーマン化するより前の人」と書いている。いままさに映画が映画監督の手に取り戻されるべきではないか。サラリーマン監督の映画は見ても腹の底まで染み込まない。


第二章 わが思索 わが風土


大島渚をして、なにが彼をここまで反逆的にさせたのかは、この本を読むとうっすらわかる気がする。彼が幼い頃父を亡くし、父の書棚にあった「資本論」を読み漁り、学生の頃全学連の副委員長を務め、就職のときにことごとく採用試験に落とされ、やっと勤めた松竹と決別するなど、社会と大島の関係が常に隔たりを生んでいたことに起因しているように思える。


「職業 幻想を現実化する」というタイトルの中で、著作権法によって映画が監督の手から映画会社へ奪われたことを憂う。映画監督が画家や小説家のように芸術家として位置づけられない忸怩たる思い。


この反動で大島は犯罪を題材とした映画を次々と送り続ける。彼は常に自分が大犯罪者ではないかと疑い、映画を作ることそのものが犯罪行為であると吐露する。39歳の頃に書いた「革命」というタイトルでは、チェ・ゲバラや大杉栄やマルコムX、ルーサー・キングが死んだ年にまだ罪深い自分は生きていると語る。


わが封殺せしリリシズム (中公文庫 お 102-1)
わが封殺せしリリシズム (中公文庫 お 102-1)
中央公論新社

角川武蔵野ミュージアム - #ダリチョコ の映画とグルメ


つづく・・・




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