#わが封殺せしリリシズム ② わが思索 わが風土
第二章 わが思索 わが風土(のつづき)
映画「少年(1969年)」の冒頭で示される黒い太陽は、紀元節が復活したと言われる1967年の建国記念日がきっかけとなって作られた。いかにも大島渚らしい着想だ。
国家が戦争や死刑によって人を殺すという絶対悪を合法化している限り私達は無罪だ
いままさに、ときの首相がアメリカの大統領に頭を下げて、防衛費を青天井に増額させようとするこの国家に対し、我々は何をやっても無罪だといことだ。大島もまた、この国にあって、世の中に組み込まれてゆくことの苦しみを実感しているという。
ここからはアンジェイ・ワイダや、斎藤龍鳳、増村保造、(ドキュメンタリー「日の丸」の)寺山修司など、大島が少なからず影響を受けた偉人たちへの追悼を述べ、川喜多和子氏の弔辞では、彼女が関与した多くの映画人の名前を並べる。このあたりで涙が止まらなくなる。どの名前も戦い続ける人たちだ。
さらに森川英太朗氏の弔辞の最後で、
森川よ、いつまでも私の中に生きて
生きて生きて生き続けて
我が行く手を守れ
と読んでいる。このあたりはいかにも大島渚らしい感動的な演出を自らに課している。
第三章 俘虜と天使
松竹に入社したての頃、淡島千景さんにお小言をいただいた思い出を克明に残している。「髪結いを急かしてはいけません。髪が乱れては女優はいい演技ができません。」大島はこの言葉に強い感動を覚えている。彼が女優を大切に扱う所以がここにありそうだ。
つづく・・・
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