説得 キャリー・クラックネル☆
Netflixでダコタ・ジョンソンの『説得』を鑑賞。監督はイギリス人のキャリー・クラックネル。原作は『プライドと偏見』のジェイン・オースティン。
ちなみに『若草物語』のオルコットは南北戦争頃のアメリカの姉妹を描いたが、オースティンは19世紀初頭のイギリスの貧しい貴族を描いている。この映画がアメリカ映画で、イギリス人監督を採用してアメリカの映画として撮るという点が面白い。奇しくも少し前の2020年にアニャ・テイラー・ジョイの『エマ』が公開されている。いずれもオースティンの原作。
この『説得』をふたつにまとめると、ひとつはその美しさ。ダコタ・ジョンソンの美しさもさることながら、彼女を中心とする映画の中の風景が夢のように美しい。撮影場所は映画にも実際に登場するイングランドのバース。キューブリックの『バリー・リンドン』や『ブリジャートン家』もこのあたりで撮影されたらしい。
そしてもうひとつは、ダコタ・ジョンソンの素晴らしい演技。その美しさはかたときもこの映画から目をそらすことができないほどの美しさ。3姉妹の次女を演じる彼女は、熱烈な恋をしたものの、当時貧しいフレデリックと結ばれることなく別れ、その8年経ってナポレオン戦争で活躍して大金持ちになったフレデリックと再会する、というドラマ。とてもユニークなのは、ダコタ・ジョンソン演じるアン・エリオットが一人称でカメラに向かってセリフを言うシーン、いわゆる舞台演劇でいう第四の壁を破る演出は、監督のクラックネルが舞台演出家であることも影響しているのではないか。『アニー・ホール』や『ファニー・ゲーム』あるいは『ジャージー・ボーイズ』が連想される。
没落貴族が経済的に追い詰められて、娘たちは結婚を目的に社交界で努力する、という趨勢の中、主人公のアンはフレデリックを思い続ける。しかし再会するとフレデリックはアンの義妹と近づき、その思いとは裏腹な行動でお互いが傷つけ合う。当時のイギリス貴族を想像すると、その抑圧的な貴婦人の生活は常に恋愛を想像するものだ。この映画でアンの家族が金持ちの貴族の高齢貴婦人と謁見するシーンがあるが、この沈黙こそ格差を示すものだ。彼らの抱える領地の財産は、つねに社会の影響を受け、王室に近い貴族は常に安定した収益で揺るぎがない。こうした格差をこの映画は示している。
オースティンが生きた時代の貴族の苦悩は、現代における格差へといまだに続いていることをこの映画は示す。しかし映画そのものはそのことが主題ではなく、長い年月を費やした熱い恋愛を求める作りになっている。
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