生きる Living オリバー・ハーマナス監督
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黒澤明監督の「生きる」で見事に主人公を演じた志村喬さんの素晴らしい演技。あのたどたどしい演技。言葉に詰まるようなあの主人公をビル・ナイはどう演じるのだろう。期待と不安とが混ざり合う。そして彼はこの映画でスクリーンに登場すると「グッドモーニング、ジェントルマン」と帽子に手をあてる。こういう瞬間に「ああ、映画っていいな」と思う。もうこの瞬間から胸の高鳴りを覚える。トルストイを黒澤が継ぎ、カズオ・イシグロへバトンを渡す。なんという感動だろう。もうここで十分とも言える。
LIVING | Official Trailer (2022)
黒澤明監督の「生きる」を一旦忘れるべきだ。これは違う映画。現在から1950年代を遡り、当時の官僚主義的なイギリス社会を映す見事な映画。どうしてもクロサワ版のオープニングの残像が残る。どんな始まりなのだろうとわくわくさせる。日本人としてどうしても黒澤明を消し去ることなどできない。しかしこの映画は全体の構成を維持しつつ、全く違う映画に仕立て上げている。
まずはビル・ナイである。ビル・ナイ以外でこの映画は成り立たないだろう。イギリスの規律を守る紳士。あの偉大な志村喬さんの残像を完全に消し去っている。しかし、セリフは時々志村さんに寄せた雰囲気を示す。たどたどしさは志村さんを彷彿とさせる。しかし、まるで違う存在感がそこにはある。これでいいと思う。彼の表情を包む周辺の演出も見事だ。
もしも、もしもこの映画を見て黒澤明監督の「生きる」見ようと思う方がいたとしたら、そこにはまた全く異なる映画表現があることを伝えたい。黒澤明の代表作のひとつに数えられるあの作品をぜひこの機会に見直してほしい。
ラストのブランコシーンもまた味わいが違う。
全てが美しく全てが感動的な映画だった。カズオ・イシグロの狙いもまたよくわかる。世界は何年経過しても同じ過ちを繰り返す。過ちの狭間で生きることの難しさをこの映画は丁寧に示してくれる。時代と国を越えて普遍的なテーマが我々にのしかかる。
Ikiru | 1952 | Akira Kurosawa | Modern Trailer
生きててよかった。
まだ”生きる”のか。
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