Casting JonBenet | Official Trailer [HD] | Netflix

キティ・グリーン監督の新作が日本で劇場公開されたとき、彼女の過去作品をNetflixで見ることができた。

日本語タイトル「ジョンベネ殺害事件の謎」は的外れで、これはジョンベネ殺害事件というドラマを作るためのオーディションの映画である。この映画の役を演じたくて、オーディションを受ける人々と現実の事件を重ねてゆく。面白いのは、オーディションを受ける人々がカメラを前に、ジョンベネ殺害事件についてコメントしたり役を演じたりする過程で、おぼろげに事件の真相に迫ろうとする向きはあるが、これは決して謎解き映画でもなんでもない。オーディション映画である。

オープニングシーンまた実にいい。椅子だけがずらりと並んでいる。この椅子はなんの椅子か？誰が座るのか？

ジョンベネの父親や母親、そして１０歳の兄などの配役候補がカメラの前で語る。途中で兄役の少年がスイカをバシバシ叩いて割る、というシーンはいかにもおぞましい。こういう表現は見事だと思う。

非常に緻密に練られた映画で、オーディションシーンの中で人物たちは自分たちのことを話し出す。父親として母親として、中にはサンタクロースとして出演する人物も語りだす。ジョンベネの殺害と彼女を囲む家族は次々に死んで、事件は迷宮入りとなってしまったらしいが、彼らはこの映画に取り組むために、自分たちの過去とラムジー家のことを重ね犯人探しを始めたりする。

そして驚くべきラスト・・・

キティ・グリーン監督がシカゴ・トリビューンのインタビューに応じて、この映画の目的などを語っている。

（ネタバレ）
オーディションは結局、ドラマの人物を固定することなく、全員がそれぞれを演じる長くスクロールするカメラで彼らほぼ全員を撮り、その全景を最後に写して終わる。つまり彼らはジョンベネではなく、結局自分たちの人生をそれぞれ演じていた、というオチのようだ。

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