こんにちは、母さん 山田洋次監督
91歳の山田洋次監督最新作。「こんにちは、母さん」
「キネマの神様」以来の山田洋次作品。2年ぶりになるが、山田監督の製作意欲が全く衰えていないことを確信する。すごいバイタリティーだ。日曜日の11時の回、劇場は意欲的な年配のお客さんでいっぱいだった。ご夫婦連れなどカップルが多かったと思う。とにかく豪華な俳優陣が並ぶ素晴らしい映画なのだが、「キネマの神様」にも出演された、
永野芽郁さんが特に素晴らしかった。
親と噛み合わず、吉永小百合さん演じる祖母の家に居候を始める役なのだが、父親に問い詰められて涙を流して本音を語るシーンがとても素晴らしくて感動した。老いを迎えた現在ではなく、自分がまだ子供だった頃、親との軋轢など、色々なことが重なるシーンだった。吉永小百合さん演じる祖母が祖父と出会ったときの思い出を聞くシーンで孫の彼女が「ドキドキする」と語るシーンもいい。
この映画は、現代の格差社会や高齢化社会や家族の断絶という現実的でシビアで暗い問題を、山田洋次監督らしくコミカルにカラッと描いている。中でも田中泯さん演じるホームレスの存在感は突出している。山田監督と三浦雅士さんの対談でもこのことにフォーカスされている。隅田川を見下ろして戦争の阿鼻叫喚を語るほんのわずかなシーンも、この映画の主題だ。今この国は間違いなく「戦争」に向かっている。
舞台挨拶で、山田監督が「高齢者が映画のチケットを買うことすらできなくなっている。」と聞いて愕然とする。確かにいま、多くの映画館にチケットを売る窓口は見当たらない。ネットでチケットを買うことが当たり前と思っていたら、高齢の映画ファンが置き去りにされ、この映画を映画館で見たくても見ることができない方も存在することを自覚する。
劇場では最後のほうのシーンで、すすり泣きが聞こえてきた。この胸に迫る複雑な思いはいったい何なのか?映画は極めて近代的な高層ビルをやたらと多く映し出す。その反対で、吉永小百合演じるお母さんが、下町の地べたを這うような生活をしていることに心を打たれる。あの風景はもしかしたら、寅さんがいた「とらや」の風景にも重なるものなのではかなろうか。
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