「遠いところ」

今年の大島渚賞の受賞イベントで、この映画のことを初めて知る。

映画鑑賞の連続性を感じる。先ごろ金子修介監督の「ゴールド・ボーイ」を見た。あの映画も沖縄を舞台としたドラマだったが、こちらも沖縄が舞台。

主人公のアオイ。彼女の健気で美しいクローズアップから始まる。そして時々写される後頭部。人の表と裏の表情を感じさせる。受賞イベントで黒澤清監督が言われていたとおり、この貧困のどん底にいる少女を大人は一定の距離をもって救済しようと努めるが、彼女は頑なにそれを拒否しつづける。１７歳の母親は、夫に暴力を受け、仕事先でも逮捕され、実の親（宇野祥平さん）からも見放されながら・・・

夜間保育園から出てきたある母が道端で子供を抱えて眠る、というシーンは目を覆いたくなるような悲惨さでありながら、この映画の数少ない希望でもある。公的な支援を拒絶する少女を、生活保護を拒否する人々と照らして、この国が末期的病に陥っていることをあらためて認識する。そして、沖縄という舞台がこの映画最大のテーマだろう。「遠いところ」とは内地からかけ離れた、かつて戦争で大勢の死者を出し、米軍基地を強引に受け入れざるを得ないところであることを日本人はあらためて自覚するべきではないだろうか。

過去に書いた沖縄を扱う映画の記事も残しておく。

沖縄を見よ - dalichoko

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