金寿司 浅草

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浅草のある一角に、とても寂れた寿司屋があるのは知っていた。

しかしながらこの面もちではなかなか入りにくい。あとから聞いたことだが、池波正太郎先生がエッセイでこの店のことをチラリと書いているらしい。ブログや動画などでもいろいろ書かれている。

ある週末、意を決してのれんをくぐることにする。
・・・
狭い。4席のカウンターしかない。寿司というより魚の匂いがプーンと鼻につく。
たまたまお一人で食事をしている男性がいて、その横の2席に座って店の空気を伺う。白髪の女性が付け台の向こうで握っている。お隣の男性は福島から来られた方で、久しぶりにこの店に来たらしい。

そのお隣さんが食べている貝が実に美味しそうなので、同じものをお願いする。写真ではわかりにくいが、ひもまでついている。女将曰く「貝はひもがいちばんうまいのに、市場で調理されて捨てられる。もったいない。」その言葉通り、ひもとか貝のわたというか黒みがかった部分などはとても他では味わえない。

おまかせすると勢いで色々なものが出されてくる。見た目ではなく、食べて美味しい。

五貫握りも、ほかの店とはネタが違う。大きさもすごい。とくに光り物で輝かしいのはキビナゴ。屋久島で食べたキビナゴを江戸下町で口にできるとは驚きだ。くせのある魚なので、寿司ネタにする店は少ないのかもしれない。

私がお願いしたのは上にぎり。それほど高くない。シャコもでかいが筋子の寿司というのも珍しい。粒の大きな筋子。そしてシラスも新鮮だ。

思い切ってアワビ。これがまたとてつもなくうまい!寿司と刺し身の盛り合わせ。

アマエビも

たらこも、何もかも美味しい。

横の方は漏れなく透明のやつを飲んでいい気持ちになっておられましたな。
歌舞伎の話題やら池波正太郎さんの話題やら、昔と今とで客層が違うとか、要するに回転寿司しか行ったことがないお客さんが来ると、いろいろ説明するのが難しいとおっしゃっていた。


女将さんと話して得心








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