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シニア右翼 その2 古谷経衡著 「老人と子供」

シニア右翼 日本の中高年はなぜ右傾化するのか (中公新書ラクレ)
シニア右翼 日本の中高年はなぜ右傾化するのか (中公新書ラクレ)
中央公論新社
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「未完の戦後資本主義」を総括して、著者は4つの要因にまとめている。ここはかなり説得力がある。


1、戦前と戦後の連続


宮台真司氏の「民主主義が一度もなかった国・日本」や片山杜秀氏の「未完のファシズム」などから著者は、”完成されたファシズムがなかったが故に、敗戦のダメージもそれほそ大きくなかった”のではないか?と仮説する。だから戦前の支配層である岸信介のようなA級戦犯が舞い戻ることになる。野口悠紀雄氏の「戦後経済史」に”革新官僚”(岸信介、椎名悦三郎)らによる産業の国歌統制的政策は、民主主義的に対応すると時間がかかるので、一定程度の専制を許容し、社会主義的思想(大きな政府)による復興を目指したものと推測している。

アベノミクスが大嘘をついた「戦後レジームからの脱却」は、実は祖父である岸信介を追従するもので「戦後レジームへの執着」だった、というくだりは説得力がある。つまり、戦前体制側にいた人間が企業に降りてもまだ戦前と同じような軍隊方式を採用したのが、戦後の日本であって、戦前も戦後もまったく変わることなく連続しているから、右翼が幅を効かせる土壌がもともと残っているのではないか、というものだ。


2、民主的自意識の不徹底


都市部で党員数を大きく伸ばした創価学会についても言及している。彼らは発展する都市部にやってくる地方の孤独な若者を招き入れ、地方では自民党が利益誘導型政治によって票を集め、これらが融合して現在の与党体制が構築された。戦後から今日に至るまで、漠然とした政治教育を受けてこなかった日本人には自治意識が低く、日本の不完全な自治から高度な民主主義は派生しにくかったのではないかと問う。


3、戦争の反省の不徹底


真のファシズムが成り立たず、中途半端な民主主義しか知らない日本人は、戦争責任についても曖昧なまま過ごしてきた。過去の政治家も誰も、日本の戦争責任を明確に意思表示することなく、被爆国であることで被害者意識だけが増長するという論理のすり替えを行いここまできた。戦争調査会という組織のいつの間にか消えてしまった。そもそも満州国を強引に作った岸信介の責任を誰も問うことができずにきたことが、日本人に反省の意識が低いことの象徴なのだろう。だから隣国から疑いの目で見られるのだ。


4、戦争記憶の忘却


そうこうしているうちに時間が事実を忘却させてゆく。戦争体験者もいなくなり、戦後メディアは国家におもねり批判の目を失う。電通に代表される自民党の下請け会社のような組織がメディアを牛耳ることで、戦争そのものの存在すら忘れようとする。どのメディアも”なぜ戦争が起こったのか”という原因を隠して、事実を捻じ曲げようとする。ここからシニア右翼の出番である。何も考えない、強い権力に擦り寄り声高に国家主義を標榜する。


教育の現場でも肝心の戦後現代史は教科書からかき消されてゆく。


終章 老人と子供


要するにことの国は戦前も戦後の未熟なまま、子供のままの状態で真の民主主義を学ぶことを避けてきた。戦争責任を置き去りにして、なんとなく過ごしてきたことでここまできた。著者は大友克洋の炯眼として「童夢」を例に掲げる。おもちゃを与えられて見かけだけ年老いて中身は子供のまま。そんな社会がいまの日本だと言っている。


重要なのはこの著者である古谷経衡氏がもともと(そして現在も)右翼思想を持つ方であることだ。かつて右翼の若手リーダーだった古谷氏が、冷静に自己と自己の環境を分析して、極端なシニア右翼の増加を警告している。知性に溢れたとてもおもしろい本だった。


以下の本とともに冷静は判断をするために必読だろう。目先のSNSのネタやメディアに騙されると愚かな判断をすることになる。

真説 日本左翼史 池上彰、佐藤優 講談社
激動 日本左翼史 池上彰・佐藤優 「60年安保」



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