問題はロシアより、むしろアメリカだ③ 「無意識下の対立」
この本を読んで、もっとも印象深く目を奪われたのがこのチャプターだ。
思わずうなってしまった。
第3章 無意識下の対立 「無」への恐怖
プーチンが「反LGBT」発言をしたことを、我々は漠然と嫌悪感をもって聞いているわけだが、世界を見渡すと8割近くが家父長制を重んじ保守的な考えの国が多いという。その意味では、かつてトランプとプーチンが固い握手をしたシーンがよみがえるのだが、アメリカにも熱烈なプーチン支持者(トランプ支持者、福音派など)がいることも忘れてはならない。ここもまたメディアのバイアス、偏見、偏りが寄与しているということだろうか。
ドッド氏は人類学的な側面から、プーチンが強気である背景を解説する。
米・英 → アングロサクソン系 → 核家族 → 女性の地位が高い
ロシア → スラブ系 → 共同体家族 → 家父長制(男性が強い)
この構図の流れから、スラブ系の国がかつてマルクスやレーニンの教えにもとづいて、社会主義や共産主義を目指そうしたことが説明できる。対して、アングロサクソン系が核家族をメインにしているのはむしろ少数派だとも考えられる。日本は古来から、どちらかというと共同体家族制で、地方などは大きな屋敷に何世代も家族が住み、農業を中心とする地域が成立していたが、戦後高度成長期から都市化が進み、ここでいうアングロサクソン系の核家族化にシフトしたという経緯がある。そしてこうした歴史の流れで、西側の自由主義が寡頭制を生み、逆に極端な独裁を生じさせる遠因にもなっている。
この対立が実は人類学的な対立となっているとトッド氏は説明する。
もともと無政府状態だったウクライナをめぐるこうした混乱こそ、突き詰めれば西も東も弱みを抱えた同じ状況にありながら、無政府状態の国をめぐって戦争を継続する原因なのではないかという。この戦争に行きつく先は「無」になること。無政府状態をきっかけに争う果ては「無」であること。「無」となることへの恐怖を払拭するために「終わらない戦争」を継続せざるを得ない状況に陥っているということだ。
なんと恐ろしいことだろうか。
横道にそれるが、トランプが大統領に就任したとき、「ヒラリーが大統領にならなくてよかった」という声は各所から聞こえてきた。そしてトランプの4年間は、当人の人格的な問題はさておいて、世界から米軍を引き上げるという発言をはじめ、トランプや金正恩と握手する姿は、今思えば平和的に見える。むしろアメリカは民主党のほうが好戦的であって、ビジネスマンであるトランプは平和主義者だったのではないか、とも感じさせる。
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