「ミクス」はたいてい失敗する
ここでいう「イズム」や「ミクス」とは、学術的な「◯◯主義」や「◯◯イズム」あるいは「◯◯ミクス」のような体系的な話題ではなく、しょうもない個人的な感想を書くものなので、読まないほうが身のためだと思う。読むときっと不愉快になるはずだ。間違いない。
ある日、自分が書いた過去の記事に目が留まる。
伊東光晴先生はまだ96歳でご存命で、自分が学生の頃在籍したゼミの系統として、もっとも名高い方で、放送大学などで講義を受けたものだ。その伊東先生が2014年に書かれた『アベノミクス批判――四本の矢を折る』(岩波書店、2014年)という本に触れている。近年でこれほど慈愛に満ちた人間的著書に触れたことがない。この著書から約10年、第二次安倍政権から12年になろうとするこの時期に、実態経済とこの国の閉塞感に照らして検証することは無駄ではないだろう。
- アベノミクス批判――四本の矢を折る
- 岩波書店
- 本
本書を簡単に振り返る。
①株価上昇は外国人投資家の買いが入っただけ。
②金融緩和。各金融機関の日銀当座預金が増加しただけ。
③基礎的経済成長力の減少を来す人口減。全く対処できず。
④生産性向上。高齢化社会と逆行する。
これらのキーワードを受け、東洋経済に2016年、中原圭介氏の記事がヒットする。
要点は以下の通りだ。
(1)円安により企業収益が増えたとしても、実質賃金が下がるため国内の消費は冷え込んでしまう。
(2)大企業と中小零細企業、大都市圏と地方といった具合に、格差拡大が重層的に進んでしまう。
(3)米国を除いて世界経済が芳しくない見通しにあるので、円安だけでは輸出は思うように増えない。
(4)労働分配率の見地から判断すると、トリクルダウンなどという現象は起きるはずがない。
この中で出色なのは、「トリクルダウンはない」という主張で、これはバイデン大統領(失言が多いが・・・)も公式に発言している。第二次安倍政権で、このトリクルダウンという言葉に大いに騙されたと思われる方も多かろう。
冒頭の話題に戻るが、とかく「イズム」とか「ミクス」などという政策が成功したためしがない。レーガノミクスはサッチャリズムの受け売りで、言わずもがな世界に格差をもたらし弱者を排除する社会を構成した。当時の冷戦構造が崩壊したことで、新自由主義が地球を支配した。マネタリストが主人公となる社会を演出した経済学者にノーベル賞が手渡され、おかげで地球環境も台無しにされてしまった。この流れに「アベノミクス」が存在する。伊東光晴先生は、この危険な政策をいちはやく察知し、著書で大いに批判している。
浜田宏一教授がこれらの説に反論している。
しかしこれはあまりにも軽薄な説で、本質や統計方法が書き換えられて情報操作されていることを見過ごしていると思う。
さらに当の首相は、いちいち批判的な記事に怒りをあらわにする姿勢でメディアを萎縮させる強権を使い、自らの失政を覆い隠そうとしただけでなく、かのトリクルダウンで企業が得た利益を、自らの懐に導こうとする見えな工作を重ねてきた節があるらしい。
諸説はあっていい。
しかしひとつの説に偏り謙虚さを失した政治は国民を愚弄する。
残念ながらこういう記事を書くと陰謀だとか言われるが、先人の教えに倣って真実を見極める目を持つよう努めるべきではなかろうか。
あらためて伊東光晴先生の著書に学ぶ。
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