ウォンカとチョコレート工場のはじまり ポール・キング監督
ミュージカル映画というだけで興奮する。かつてMGMで作られた多くの大作を思えば、昨今の映画でミュージカルは下火に思えるが、ボリウッドやハリウッドでミュージカル大作が作られるのは嬉しい。それだけで映画館で鑑賞する価値があると思う。そして本作は少しだけ「メリー・ポピンズ」で描かれた本当の意味が折り重なる。
シャラメくん目当てでこの映画を鑑賞するもよし。チョコレート好きな方ならなお楽しめる映画だろう。素晴らしい映画だった。
しかし・・・
この映画には別次元のとてつもなく重要なことが背景として描かれる。思えばティム・バートン版でジョニー・デップのウォンカがチャーリーを最後に自分の後継者としたのに断られるというシーンがある。あのシーンはこの作品にも繋がっている。
映画の冒頭で、手元のコインを次々と騙し取られるウォンカが、最後に2枚になったコインを貧しい赤子を抱いた恵みを求める女性に渡そうとすると、その女性は1枚しか受け取らない。ここが重要なシーンだ。そしてその答えは、感動のラスト、サリー・ホーキンス演じるウォンカの母親が残したメモの言葉に向かってゆく。この感動は映画を見ていただくしかない。
世界は1%の富裕層が全体の半分近くを支配していると聞く。そして広がる格差を見過ごし汚職まみれの為政者やメディアのことはこの映画の中でもダイレクトに描かれる。ことの良し悪しをここで論じるつもりはないが、いま我々が住むこの国もまたウォンカが夢を描いたこの腐敗した街に重ねることはできないだろうか。
会社の方たちと大勢で鑑賞してたあと、場所を変えてワイワイお話できたのも楽しかった。
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