夢遊病者たち① 「サライェヴォへの道」クリストファー・クラーク著
猪木武徳先生の本を読んでいくと、その研究の行き先がとてつもなく壮大であることに気付かされるのだが、猪木先生著書の中で「多くを知ると知りたいことが増えてゆく」という節があって、読書や学びのあり方をそこはかとなく教えてくれる。猪木先生の本はいずれまたここで紹介する予定だが、その本の中で紹介されていたこの本を先に記録することにした。図書館で借りてきたので、かなり読み飛ばし気味ではあるが読み応えのある本であった。
- The Sleepwalkers: How Europe Went to War in 1914 (English Edition)
- Harper
- Digital Ebook Purchas
全部で2巻、12章により構成されるこの本は「第一次世界大戦」がなぜ起こったのか?を、当時の関係者のあらゆる記録(日記や公式記録)などをもとに恐ろしいほどの情報量をまとめあげた本だ。日本ではあまり広く知られていないようだが、世界各国で翻訳され大ヒットし、且つ論争の対象となるなど、話題豊富な恐るべき名著である。
個人的に、第一次世界大戦後ドイツで起きたハイパーインフレをケインズが懸念して、デフォルトとなることが明らかな賠償金をドイツに課すことを批判したことが起点となる。ケインズの予言は的中し、ドイツがその後ポピュリズムを背景にナチズムへと転換していゆくことで、戦争の世紀と言われる20世紀を象徴させている。
本書はまず「第一部 サライェボへの道」から始まる。
この戦争のきっかけとなったのは、サライェボ(以下「サラエボ(現:ボスニア・ヘルツェゴヴィナ)」とする)でオーストリアの皇太子がテロリストの暗殺される事件をきっかけにヨーロッパを中心に世界中に波及した戦争の背景を探ろうとする。「第一章 セルビアの亡霊」では、この戦争が何度か続いたバルカン戦争の延長にあることを解説する。オスマン帝国との対立を続けるバルカン戦争からセルビアの民族主義は続いていた。いわだ第三次バルカン戦争が第一次世界大戦であることを示す。バルカンとオスマンの対立を囲む諸国、中でも当時ヨーロッパの中心だったオーストリア=ハンガリー帝国は「第二章 特性のない帝国」として紹介される。民族主義的なセルビアと政治的に低迷してゆく大国オーストリア=ハンガリー帝国の対立に、ロシアとドイツを背後に置くそれぞれの国が、不穏な戦争へと向かうことをにじませる。
著者のクラーク博士が、祖父から聞いた当時の話の中で「真っ先にちびったのは、戦いたかった奴らだ」という言葉を引用し、博士がこの印象的な言葉をきっかけの本書執筆をイメージしたことが書かれている。この謎は後編に譲る。
つづく・・・
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