#ダリチョコ の映画とグルメ

しょーもないブログです。I am stupid anytime.

息が詰まるようなこの場所で 外山薫著


電車に乗ってたらこの本の宣伝があったので、まんまと乗せられて買ってしまった。
著者の外山薫(とやまかおる)さんのプロフィールは明らかにされていないが、ご自身の体験がきっかけでこのドラマが生まれたのではないかと推測する。ときにこれらのカテゴリーを「タワマン文学」ということもあるらしい。



登場人物は3つの家族。中でも働き盛りの中流家族が冒頭にリードする。PTAで集まった会で、会長になった女性が最上階に住み、自分たちは夫婦共稼ぎでぎりぎりの生活で、タワマンの低層階に住む。彼らの家から見える外の景色は大きく異なる。そして上層階のPTA会長は、言葉の端々にエグゼクティブをひけらかしマウンティングしてくる。この夫婦の息子と、最上階の家の息子が同級生で仲がいい。しかし彼らの背負う背景は異なる。上層階の息子は医者になることが宿命づけられている。


では上層階の家が、必ずしも恵まれた環境かというとそうでもない。この家の妻は元タレントで見栄えもいいが、出身は地方都市。東京へ出てきて偶然出会った夫が代々開業医で、上流家庭の家に嫁ぐことができたが、姑から自分たちの息子を医者にすることを強く求められているため、そのストレスは大きい。


ほかにも、このタワマンの土地にもともといた等価交換の地権者や、このマンションの隣にあるさらに大きなタワマンの家族を交えて、4家族のそれぞれが描かれドラマは展開してゆく。親が子供の進路でやきもきしているうちに受験シーズンがやってきて・・・


最後に意外な決断を下す人物がいて、ドラマチックに終わるのだが、非常に読みやすくて、タワマンに住んだ経験がなくても惹きつけられる小説だ。


映画でもタワマンを巡るドラマはある。




背景やドラマの軸は違うが、高層住宅を舞台とするドラマにはどこかで「格差」が象徴的に描かれる。「朝が来る」でも、自分の子供が近所の子供を突き飛ばしたと疑われ、タワマンに住んでいるから賠償金ぐらい払えるだろうという目線は極端だ。しかし、住んでいる者にとってそれは現実なのだと思う。そして周囲から羨望の目で見られることで優越感に浸る者もいるだろう。



だが、残念ながらこの小説は茶番だ。金持ちの中だけの苦労話で傷を拭い合うような世界は、彼らにとっては優越的であっても、極めて保守的で後味がよくない。この国の現実ではあっても、極めてレアな社会で、しかもそこに大きなドラマはない。子供の受験とその後の就職活動のシーンが少し出てくる程度で、結局彼らには何も起こらない。転落もしないしタワマンの上をゆくような事件も起きない。誠につまらない小説であった。著者の私小説なのだろう。


現実はもっと違うと思う。仮に彼らタワマンの居住者が勝ち組であれ負け組であれ、この国ではもっとおぞましい現実があるはずだ。自分の知る限り、タワマンで暮らす独居老人曰く「ここはまるで監獄だわ。」という話しや、マンション管理組合の会合で、上層階と下層階の格差が大きく意見の一致が見られない、いわば同じ建物で分断が生じるケースなど、もっとドロドロした実情があるはずだ。しかしこの本の著者は知ってか知らずか、そういう見えない側面を一切無視して、ひとりよがりな自分のブルジョアジーをひけらかしているように見える。


とてもじゃないが迎合できる内容ではなく、文学としても面白みのない、程度の低い小説だった。買って損した。

(=^・^=)


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